週刊『彰と朝陽』

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ぼーぜん─彰



 それは、暑い暑い夏の日の夜だった。


「彰」

「なーに、朝陽さん」

「あちーな」

「夏だからね」

「アイス食いてーな」

「さっき食べてたじゃん」

「もーなくなった」

「またお腹冷えるよ」

「オレはあちーんだ」

「一日一個の約束でしょ?」

「彰のくせに生意気だぞ」

「今日は我慢して」

「…ふんっ」


 あ、拗ねちゃった。

 朝陽さん、かわいー。

 そろそろ朝陽さんのために、凍らせといた濡れタオルでも出してあげようかな。

 そう思って俺に凭れる朝陽さんを見たら、パッと離れられた。


「あ、き、ら」

「なーに…?」

「今日からオレたち…」

「うん」

「別々に寝よ」

「え」


 自分の顔には密かに自信あるんだけど…今、すげー不細工な顔になってると思う。

 だってあれじゃん!

 家庭内別居ってやつじゃん!

 やだやだ!

 俺、朝陽さんがいないと眠れない!


「あとさ、セックスもしばらく…したくねーから」

「……………」

「だからオレにくっつくなよ」

「……………」

「オレからもくっつかねーしな」

「……………」

「じゃ、彰は今日からソファで寝ろ」

「え、ソファって」


 ショックのあまり呆然としてたけど、ソファの単語で我に返った。

 だって俺の方がでかいのに。

 脚が思いっきりはみ出るんですけど。

 いや、そんなことより急になんで!?

 アイスの約束持ち出したから?

 あれは朝陽さんを思って…!

 だってさ、あの時の朝陽さんすげぇ苦しそうだったし!


「はい、彰の枕」

「ありがと…」

「ん、どーいたしまして」

「朝陽さん、本気?」

「なにがだ」

「家庭内別居…」

「なんだそれ?」

「別々に寝るとか、セックスしないとか」

「それがどうした」

「俺…そんなことになったら眠れなくなる」

「なんだと?」

「朝陽さんを抱いてないと安眠できない!」

「バカ野郎!それじゃオレが寝てらんねーんだよ!」


 朝陽さんは、さっき俺に渡した俺の枕をソファから取った。

 もちろん俺を殴るために。



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