週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
ほっとけない─彰
俺は滅多に腹壊さないから、あの手の薬はすぐなくす。
なくすっていうか、元々ないのかもしんないけど。
なにしろ、前いつ使ったか覚えてない。
「やっぱないわ。今から買ってくる」
「ま、待てよ!別にオレは薬がなくても」
「そんな青白い顔の朝陽さんをほっとけると思う?」
「中からあっためれば治る!」
「な、中から!?」
やべ、それって超エロくね?
俺の熱いので中を掻き回してあっためて…みたいな!
やべぇ!鼻血吹き出そう!
「いてえッ」
背中の朝陽さんが、首の後ろにチョップしてきた。
そこは危ないからダメだよ朝陽さん!
「とてつもなく変態な空気を感知した」
「うぅ…」
「オレ、キムチ鍋食いてー」
「え。暑くね?」
「だから中からあっためんだろ」
「あっ!食い物か」
「彰…」
「はい」
「どうせエロい妄想してたんだろ」
「ごめんなさい」
「特別に許してやる」
「朝陽さんは優しいな」
「惚れ直したか」
「もうベッタベタ」
「そか」
「じゃあ俺、買い物に行ってくるよ」
「に、苦いのはいやだ」
「今は甘いのもあるよ」
「ホントか!?」
ちょっと顔色がよくなった朝陽さんを下ろして、ベッドに寝かせる。
腹にタオルケットを掛けてあげたら、朝陽さんが弱々しく笑った。
「彰に腹が痛いって言ったら、ちょっと楽になった」
「そっか。キムチ鍋の材料も買ってくるからね」
「ん…」
柔らかい唇を吸ってすぐに離れると、胸がキュンとした。
弱ってる朝陽さんは格別にかわいー…。
張り切って熱々のキムチ鍋でも作るか。
◆ ◆ ◆
「なんでこんなに煮えたぎってんだ。マグマみてーだな」
「朝陽さんのためだよ」
「腹がいてーのは薬で治ったから、冷ましてから食うわ」
「わかった…」
「ヘコむな。冷めるまでセックスしよ」
「え。明日までお預けじゃないの」
「治ったらしたくなった。彰は今したくねー?」
「とんでもないです!喜んでお付き合いします!」
「じゃあ舌出せよ」
「ん…朝陽さん…」
やっぱり元気な朝陽さんが一番だ。
朝陽さんに舌を吸われながら、俺は元気になったなめらかな肌を撫でた。
-END-
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