週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
みつけだせない─朝陽
やべー、マジで腹壊した。
あのスペシャルなアイスあるだろ?
レディーボーデンだっけ?
やたらでけーやつ。
こないだ彰とスーパーのアイスコーナー行ったら見かけてさ。
ちょっとずつ食うって約束で買ってもらったんだ。
でもああいうのは難しいな。
何回か食ってて、もーなくなるかもって直食いしてたら意外に量があったんだ。
でも食いかけだし溶けてくるから無理に流し込んだら…。
「う…あちー!でも寒い…」
暑いから出る汗と、腹がいてーから出る汗が混在してる。
オレはトイレから出て、手を洗って溜め息を吐いた。
「朝陽さん!」
「なんだ」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃねー…」
「とにかく汗だくだから着替えて」
「ん」
「普通の腹痛?」
「そ、そーだ」
「もしかして…」
「彰。あのな」
「とりあえず薬飲もう」
「あるのか?」
「あったと思う」
彰はオレが脱いだTシャツを洗濯機に入れてどっか行った。
やっぱバレるよな。
アイス禁止になったらどうしよ。
そんなの、冬にみかん食うなって言われるようなもんだ。
耐えられねー!
「彰!」
「なーに、朝陽さん」
「あのな、オレ…」
「アイスで腹が冷えたんだね」
「ん…」
「だから俺に抱き付いてた?」
「さ、寒くて」
「あはは、かわい」
「なんだとッ」
「アイス禁止にされると思ったんでしょ」
「…禁止、しねー?」
「箱アイスなら、一個売りのアイスより小さめだからいーよ」
「いーのか!?」
「あと、一日一個ね」
「ん」
「がんばれる?」
「がんばる」
「よし。じゃあ薬…」
まだ腹がいてーから、薬箱漁る彰の背中に乗ってやった。
てかあの薬、すげー味じゃなかったっけ。
「…ないな」
「ないのか!」
「あったと思うんだけど」
「なくてもいーぞ」
「朝陽さんが苦しんでるのに、ダメだよ」
オレを乗っけたまま立ち上がった彰は、それから10分ぐらい薬を探し回った。
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