週刊『彰と朝陽』

しおりを挿む
いらない─彰



 腕の力が強すぎるって怒ったくせに、朝陽さんが俺から離れる気配はない。

 甘えるようにくっついて、柔らかいお尻で俺の硬いモノを…。

 もしかして俺の理性試されてんのかな。


「朝陽さん…」

「なんだ」

「俺がんばるから」

「おう」

「忍耐力には自信があるし」

「なに言ってんだ。バカ」

「え、テストでしょ」

「お前、テスト勉強しすぎてバカになったのか」

「あんまりバカバカ言わないでよ。褒められて伸びる子なんだよ俺」

「彰をバカだと思わなかった日がねーんだけど」

「うわ、ひど…」

「バカな子ほど可愛いって言うだろ」

「朝陽さんはバカじゃないけどかわいー」

「か、かわいくねーし…」

「かわいーよ」

「…バカっ」


 どうも忍耐テストとは違うみたいだ。

 ならなんなんだろ。

 まぁ朝陽さんが可愛いからいいや。


「あ、そうだ。夜はそうめんでいい?」

「いやだ」

「え」


 朝陽さんはそうめん大好きなのに。


「じゃあ冷やし中華は?」

「…きゅうりいらね」

「彰特製冷やし中華は!な、なんと、きゅうりが入ってません」

「マジかよ最高じゃねーか」

「朝陽さんのために改良を重ねました」

「お前、オレの初体験を奪う気だな」

「え、冷やし中華食ったことないの?」

「麺に絡むタレにきゅうりのエキスが染み出てるからな」

「じゃあ酢の物は?」

「あれはオレの視界に入ってこれねーんだよな」

「タコとわかめのなら食える?」

「ん、そーだな」

「じゃあ作ろっか」

「…今日はいい」

「そしたら冷奴?」

「冷たいのは、嫌なんだ」

「朝陽さん、急にどうしたの。今日は暑いのに」

「な、なんでも…ねー…」

「なんでもなくない!」


 無理やり俺から剥がした朝陽さんの顔を覗き込む。

 やっぱりおかしい…顔色が若干青い。

 しかも、これは冷や汗か脂汗?

 普通の汗じゃないみたいだ。


「もしかしてどこか痛い?」

「ん…」

「お腹?」

「ちが…」

「救急車!?」

「ま、待てッ」

「でも朝陽さんが!」

「と…トイレ行ってくる!」

 俺はトイレに駆け込む朝陽さんを、ケータイ片手に見送った。

 ディスプレイには“117”って、慌てすぎだ。



- 58/320 -

[≪prev | next≫]



 ←Series Top





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -