週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
いらない─彰
腕の力が強すぎるって怒ったくせに、朝陽さんが俺から離れる気配はない。
甘えるようにくっついて、柔らかいお尻で俺の硬いモノを…。
もしかして俺の理性試されてんのかな。
「朝陽さん…」
「なんだ」
「俺がんばるから」
「おう」
「忍耐力には自信があるし」
「なに言ってんだ。バカ」
「え、テストでしょ」
「お前、テスト勉強しすぎてバカになったのか」
「あんまりバカバカ言わないでよ。褒められて伸びる子なんだよ俺」
「彰をバカだと思わなかった日がねーんだけど」
「うわ、ひど…」
「バカな子ほど可愛いって言うだろ」
「朝陽さんはバカじゃないけどかわいー」
「か、かわいくねーし…」
「かわいーよ」
「…バカっ」
どうも忍耐テストとは違うみたいだ。
ならなんなんだろ。
まぁ朝陽さんが可愛いからいいや。
「あ、そうだ。夜はそうめんでいい?」
「いやだ」
「え」
朝陽さんはそうめん大好きなのに。
「じゃあ冷やし中華は?」
「…きゅうりいらね」
「彰特製冷やし中華は!な、なんと、きゅうりが入ってません」
「マジかよ最高じゃねーか」
「朝陽さんのために改良を重ねました」
「お前、オレの初体験を奪う気だな」
「え、冷やし中華食ったことないの?」
「麺に絡むタレにきゅうりのエキスが染み出てるからな」
「じゃあ酢の物は?」
「あれはオレの視界に入ってこれねーんだよな」
「タコとわかめのなら食える?」
「ん、そーだな」
「じゃあ作ろっか」
「…今日はいい」
「そしたら冷奴?」
「冷たいのは、嫌なんだ」
「朝陽さん、急にどうしたの。今日は暑いのに」
「な、なんでも…ねー…」
「なんでもなくない!」
無理やり俺から剥がした朝陽さんの顔を覗き込む。
やっぱりおかしい…顔色が若干青い。
しかも、これは冷や汗か脂汗?
普通の汗じゃないみたいだ。
「もしかしてどこか痛い?」
「ん…」
「お腹?」
「ちが…」
「救急車!?」
「ま、待てッ」
「でも朝陽さんが!」
「と…トイレ行ってくる!」
俺はトイレに駆け込む朝陽さんを、ケータイ片手に見送った。
ディスプレイには“117”って、慌てすぎだ。
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