週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
ありえない─彰
「彰」
「なーに?」
「もっときつくして」
「え、いいの?」
「ん」
「暑いって怒らない?」
「いいから早くしろ。密着してーんだ」
朝陽さんの口から、密着したいなんて台詞が飛び出すなんて!
俺、また白昼夢見てるとかじゃないよね?
だってありえない、朝陽さんが俺に甘えてくるなんて…!
やべぇ、可愛すぎて鼻血出そう!
でもここで耐えないと、せっかく朝陽さんから甘えてくれてるのに怒らせてしまう。
「朝陽さん…」
「なんだ」
「海は八月になったら行こ」
「美味い海の家にも?」
「そうそう!このかき氷、朝陽さんが好きそうだと思って見てたんだ」
「マンゴーの果肉ソース? 食いてーな」
「でしょ。一緒に食おうね」
「ん。彰は海が好きなのか」
「毎年なんとなく行くよ」
「オレは焼けたら痛くなるんだよな」
「じゃあ日焼け止め塗ってあげるよ」
「そーだな」
朝陽さんは俺に密着して、安心したように息を吐いた。
ホントどうしたんだろ。
セックスしたいなら朝陽さんから襲うだろうし。
てかやべぇ、朝陽さんの匂い嗅いでたらムラムラしてきた。
「…おい」
「なーに、朝陽さん」
「なに発情してんだ」
「やっぱりわかる?」
「さっきから当たってるからな」
「朝陽さんの匂いが…」
「変態かお前は。汗くせーだろ」
「それがまたいいんじゃん」
「きめぇ」
「ひどいなー」
きめぇとか言いながら、お腹くっつけてるくせに。
ホント、朝陽さんはツンデレだな。
「セックスはまた明日な」
「うん…」
「今はただ、くっついてたいんだ」
「いつでも喜んで」
「暑くねーのか」
「朝陽さんの熱ならサウナにいても耐える」
「オレ愛されてんな」
「当たり前でしょ」
俺は朝陽さんを抱き締める力を強くした。
力が愛しさに比例したらしく、苦しいとお叱りを受けた。
それにしてもこの状況、朝陽さんの性格ではありえなさすぎる。
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