TRUST ■しおりを挿む
大型犬とオレ(side 朝陽)
□幸せなはずのセックス
「タツヤ…キ、キスして」
「ん、いーよ」
キスはタツヤとしかしない。他の誰と寝ても。
「んっ、好き、」
「ふ、あんま締め付けるな、よ」
「…はぁっ、あ」
タツヤに抱かれるのがやっぱ一番幸せだ。
欲しくて欲しくて、自分から上ン乗って挿れて、動くのもタツヤにだけ。
タツヤとの結合部分がじゅぷじゅぷ音立てて、タツヤがさっき出したやつが中で泡立って、オレは幸せを感じる。
ピリリって突然機械音が鳴った。タツヤのケータイ。
「あぁ…お前か」
最中に平然と電話に出るタツヤの上で、オレは一層激しく動く。
「っ…う、い、いや、なんでもない。今夜な、わかった」
短い会話が終わった。相手は女だ。
道端で掛けてんのか声でけーし、内容筒抜け。
コレが終わったら、タツヤはその女のとこに行くんだろう。
「アサ…悪い子だな、お前は」
乗っかってたオレの腕引いて抱き寄せたかと思ったら、体勢入れ換えられてオレが下になる。
「あっ、あぁっ、タツヤ…っ」
「もっと啼けよ、アサ。嫉妬したんだろ…ホント可愛いなぁお前」
「う、うっん…タツヤ、す、き? オレのことっ、好きっ?」
「愛してるよ。愛してるのはアサだけ」
「あぁ、んっオレも、オレも愛してる」
愛してるって言われたら気持ちが昂って、頭ン中が真っ白になった。
次に目が覚めたら部屋は真っ暗で、当然タツヤはいなくなってた。
ギシギシと悲鳴を上げる腰を無視して身体を起こす。
中からドロリと出てくるそれが、オレがタツヤに抱かれた証拠。
タツヤが傍にいなくても、タツヤの痕跡がオレの中にあるだけで幸せになれる。
よろよろと起き上がって風呂に入る。
出したくはないんだけど、出さなきゃ明日腹痛くなるから出した。
涙も一緒にシャワーで流したら、朝のサンドイッチから何も食べてなかったから腹が鳴った。
明日彰が買ってきてくれるから、オレは何も食べずに寝ることにした。
何日も使われていないタツヤのベッドに入る。布団は定期的にオレが干してるから問題なし。
どーせ泣くんだからやめときゃいいのに、オレはタツヤの布団で声を殺して泣きながら眠った。
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