週刊『彰と朝陽』

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むっ!殺気っ!─朝陽


 変態な彰をデコピンしてからかうのは楽しーな。

 って、こんな場所でイチャついてるオレも実は変態だ。

 内緒だけど彰の匂いに欲情するし。

 ところで、彰のデコがだんだん赤くなってきた。

 そろそろ止めねーと…。


「もー、朝陽さん」

「デコピンしやすい彰のデコが悪い」

「するならキスがいい」

「所構わず発情すんなバカ」

「だって朝陽さんの唇、柔らかくてきもちーし」

「バ、バカ言うんじゃねー」

「ホントだし。なんも塗ってないのにピンク色だし」

「塗ってたら、おかしいだろ…」

「うん。朝陽さんかわい」

「ここ、学校っ」

「ですよねー」


 でも、辺りには誰もいねー。

 だから特別に、ちょっとだけなら許してやってもいいかもしれね。

 オレにも彰の変態が移ったか。

 なんかドキドキしてきた。


「…彰」

「え…なに、朝陽さん」

「人いねーから…一回だけなら、してもいーよ」

「…っ、やべ」

「なんだよ…」

「鼻血が」

「お前…」

「ごめん、朝陽さん」


 せっかくオレが、甘い空気にしてやったのに。

 実家に耳鼻科も作ってもらえばいいんじゃね?

 鼻の中、改造してもらえばいいんじゃね?

 オレの誘いを台無しにしやがって!

 ティッシュを探す彰を見上げてたら、なにか不穏な気配を感じた。

 これはもしや、殺気か!?


「彰っ、伏せろ!」

「え」

「くそ、」


 彰の膝に頭を乗せたまま、鼻にティッシュを詰めた彰の首に腕を回して引き寄せた。

 彰の頭上を掠めて、向こうにバサリと落ちる重そうな袋。

 白い袋から飛び出した中身は…ビニール袋に入ったパン?


「ん、んんっ」


 彰がくぐもった声を漏らした。

 あ、キスしてるわけじゃねーよ?


「あー…当たらなかったか」


 彰が背にしてた植え込みの向こうから…まさかの魔王が現れた!!!


「てめっ、魔王!復活しやがったのか」

「え、もしかして魔王って俺のことかな」

「なにしに来たんだ」

「朝陽に会いに」

「なんの用だ」

「もちろん、口説きに」

「なっ!」


 彰の頭を抱き込んだまま魔王と会話してたら、彰に腕を叩かれた。


「朝陽、彰が窒息死する」

「あっ」


 オレは慌てて彰の頭を解放した。



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