週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
むっ!殺気っ!─朝陽
変態な彰をデコピンしてからかうのは楽しーな。
って、こんな場所でイチャついてるオレも実は変態だ。
内緒だけど彰の匂いに欲情するし。
ところで、彰のデコがだんだん赤くなってきた。
そろそろ止めねーと…。
「もー、朝陽さん」
「デコピンしやすい彰のデコが悪い」
「するならキスがいい」
「所構わず発情すんなバカ」
「だって朝陽さんの唇、柔らかくてきもちーし」
「バ、バカ言うんじゃねー」
「ホントだし。なんも塗ってないのにピンク色だし」
「塗ってたら、おかしいだろ…」
「うん。朝陽さんかわい」
「ここ、学校っ」
「ですよねー」
でも、辺りには誰もいねー。
だから特別に、ちょっとだけなら許してやってもいいかもしれね。
オレにも彰の変態が移ったか。
なんかドキドキしてきた。
「…彰」
「え…なに、朝陽さん」
「人いねーから…一回だけなら、してもいーよ」
「…っ、やべ」
「なんだよ…」
「鼻血が」
「お前…」
「ごめん、朝陽さん」
せっかくオレが、甘い空気にしてやったのに。
実家に耳鼻科も作ってもらえばいいんじゃね?
鼻の中、改造してもらえばいいんじゃね?
オレの誘いを台無しにしやがって!
ティッシュを探す彰を見上げてたら、なにか不穏な気配を感じた。
これはもしや、殺気か!?
「彰っ、伏せろ!」
「え」
「くそ、」
彰の膝に頭を乗せたまま、鼻にティッシュを詰めた彰の首に腕を回して引き寄せた。
彰の頭上を掠めて、向こうにバサリと落ちる重そうな袋。
白い袋から飛び出した中身は…ビニール袋に入ったパン?
「ん、んんっ」
彰がくぐもった声を漏らした。
あ、キスしてるわけじゃねーよ?
「あー…当たらなかったか」
彰が背にしてた植え込みの向こうから…まさかの魔王が現れた!!!
「てめっ、魔王!復活しやがったのか」
「え、もしかして魔王って俺のことかな」
「なにしに来たんだ」
「朝陽に会いに」
「なんの用だ」
「もちろん、口説きに」
「なっ!」
彰の頭を抱き込んだまま魔王と会話してたら、彰に腕を叩かれた。
「朝陽、彰が窒息死する」
「あっ」
オレは慌てて彰の頭を解放した。
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