週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
今日は何をする?─朝陽
愛を確かめるためにわがままを言ってみたら、彰が切れてないパンを買ってきた。
ダイニングの椅子に体育座りして見てたら、彰がオレの目の前にでっかい食パンを置いた。
「とりあえずイメージで作ってみるかな」
「そーだな。これ、中身切んの」
「まず厚さ決める。このトースターに入んないと、話になんないよね」
「メジャーがねーな」
「目測で…こんぐらい?」
「いーかも」
かなり分厚く切れた。
彰が中身をくりぬいて四角くしたやつに、バターを挟んで中に戻した。
「はちみつは?」
「ちょっと掛けて焼いたらいい感じになるはず。朝陽さんは甘いの好きだしね」
「ん、好きだ」
「俺にもそうやって躊躇わずに言ってほしいなー」
「おま、はちみつと同列になりたいのか!」
「それはいやだ…」
「そ、それに躊躇ってるわけじゃ、ねーよ。…いつも、想っ、てるし」
「俺も想ってる」
「し、知ってる…。ほらっ、焼けたぞ」
いいタイミングで焼けたパンは、バターとはちみつが染み込んで美味そうだ。
彰がそれを取り出して、はちみつをさらにいっぱい掛けてバニラアイスも乗っけてくれた。
最高!彰がオレのために作ったんだ。
分厚いはちみつトーストは量が多くて、二人で食っても満腹になった。
彰は甘すぎるっつって、コーヒーいっぱい飲んでた。
「彰は最高の男だな」
「朝陽さんのためだからね」
「うん」
「今日は俺、昼からバイトだ」
「オレは、なんもない」
「いーな。今日はなにすんの朝陽さん」
「とりあえず今から彰とセックスする」
「えっ…」
「いや?」
「そんなわけないじゃん。喜んでお受けいたします」
「ん、舌出せ」
彰とのキスが好きだ。
いちいち言わねーけど、いっぱいするからわかんだろ。
同じように、好きって言わなくてもわかればいいのに。
「…彰」
「なーに…」
「今度小型犬がなんか言ってきたら、オレとのキスの話しろよ」
「なんかあんの」
「ん…あいつには、一回もキスさせたことねーんだ」
「そうなんだ!」
「オレがすぐに彰とキスしたがること、言っていーから」
「やべ、優越感がすげー」
「そーだろ」
やたら嬉しそーな彰を黙らせて、今度はオレが主導権握ってやった。
彰はそのあと普通にバイト行ったけど、オレはそのまま寝た。
今日の夜ご飯は、オレが特別になんか作ってやろーと思う。
-END-
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