週刊『彰と朝陽』

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おひさまおはよう─朝陽


「んんーっ!」


 カーテンを開けて、大きく伸びをする。

 今日は太陽を浴びるのが遅れた。

 なんだかんだで、もうすぐ九時だ。


「朝陽さんは太陽好きだね。俺のお日様は朝陽さんだ」


 太陽が射し込むソファの窓側を陣取ってたら、風呂から出た彰が隣に座った。


「名前か」

「いい名前だよね」

「気に入ってる」

「うん、初対面で名字呼んだら蹴られた」

「名字はダサいし」

「素朴な感じが朝陽さんの可愛さを引き立ててね?」

「バカ、お前はオレが好きだから可愛く見えてるだけ。オレは普通の男だ」

「でも大翔に口説かれて襲われてたし。あいつ、朝陽さん連れて来いってしつけーし…」

「魔王は知らねーよ」

「あと、黙ってたけどスズキマサオミが朝陽と別れて!って言ってきた」


 スズキマサオミって誰だ。

 オレの知り合いにはいない。


「彰が浮気した…」

「え、ちょ、なんでっ」

「オレはそんな奴知らねー…」

「いや、朝陽を返せって言われたんだけど」

「ん…嘘だろ」

「ホントだってば。俺のせいで朝陽さんに捨てられたらしい」


 オレが捨てたのは小型犬だ。

 そーいやあいつ、オレがいなきゃダメって言ってたけど生きてんのかな。

 …ん? あいつ、名前何つったっけ。


「あぁ…」

「心当たりある?」

「小型犬…」

「なにそれ、的確すぎ」

「なんか小刻みに震えてんだろ」

「うん、すげー気弱。朝陽は俺のだっつっただけで逃げてった」

「…かっけーじゃん」

「で、小型犬は朝陽さんのなに」


 褒めたのにスルーされた。

 このオレが、褒めてやったのに。


「も、元セフレ」

「そう…地味にショックだよね」

「彰のこと好きになる前に、やめたんだ」

「そっか」


 呆れたかな。

 嫌われたらどーしよう…。

 オレが淫乱だから別れようって言われたらどーしよう。

 そー思ったら、ボロボロと涙が出てきた。


「ご、ごめんなさ…っ」


 タツヤと付き合ってた時はセフレぐらい、お互いいても平気だったのに。


「俺が朝陽さんに超弱いの知ってる?」

「うんっ…」

「あはは、知ってるんだ」

「お前…オレのこと、愛してるからっ」

「うん、全世界の常識だよね」

「ん…」

「なのに、俺に嫌われるかもって泣いてる朝陽さん。おかしくね?」

「…ホントだ」

「元気出た?」

「出ねー…」

「え、なんで」

「言えよ」

「なにを?」

「っ…、さ、察しろよ」

「俺だってたまには朝陽さんから言ってほしいな」

「…だ、大す…き。大好き、彰」

「やべっ、嬉しすぎて泣きそ」

「感動したか」

「うん、愛してるよ」


 ストレートな言葉に、オレの方が嬉しすぎて泣いた。



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