週刊『彰と朝陽』

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切なく響く言い訳─彰


 可愛くない嘘を塞ぐ名目でキスしたら、火がついた朝陽さんに襲われた。


「っはぁ…ん、彰…」

「気持ちいい?」

「きもちぃ…」

「久し振りだからすごいね、朝陽さん」

「んっ、あ、きらも…だろ」

「うん…俺もうやべぇ」

「ナカに、出してっ?」


 朝陽さんが切なげに俺を見た。


「朝陽さんも、一緒にイケる?」

「う、ん、もーイキそ…」

「ん、じゃあイクよ」


 俺の上で動いていた朝陽さんの腰を掴んで、下から突き上げる。


「あっ、あぁっ…はげし…」

「出すよ」

「っく、オレも…っ」


 俺の上に倒れ込んで、はぁはぁと胸を喘がせている朝陽さんの目は虚ろだ。

 名残惜しいけど、俺は朝陽さんの中から自身を抜いた。


「…やだ」

「もっとしたい?」

「ん」

「朝陽さんは元気だなー」

「うるせーバーカ」

「また明日ね」

「あー情けねーな」

「俺が本気になったら朝陽さん泣くし」

「お前、爪隠してんのか」

「うん」

「………ふーん…」

「…ごめんなさい」

「男なら虚勢の一つや二つ、しかたねーよ」

「やべ、朝陽さん男前」

「お前の情けなさが際立つからあんまり出さねーようにしてんだけどさ、やっぱり溢れるんだよな」

「そんな男前の朝陽さんに、お知らせがあります」

「なんだ、オレ様に用か」

「来週、ピアスの穴開けに行こ」

「え」


 あ、固まった。

 ちょっと予想はしてたけど。


「…実家がクリニックでさ。兄貴が皮膚科やってて」

「き、急、だな」

「まぁ、会ったついでに話してさ」

「そ…か、」

「ここから電車で30分くらいだから」

「…おう」

「大丈夫、怖くないよ」

「ったりめーだろ!誰が!」

「でも、顔色が悪い」

「貧血、だし。ただの」

「あー可愛いなぁもう」


 想像の世界だから怖いんだろうな。

 ガキが注射される前みたいな感じ。

 朝陽さんの少し冷えた身体を抱き締めたら、素直にしがみついてきた。


「こ、怖いわけじゃないからな!」

「うん」

「武者震いっつーか…」

「朝陽さんは勇ましいなぁ」

「そーだろ」

「一瞬で終わるからね」

「っ…!」

「俺がついてる」

「しゃっくり、だし」

「うん」


 俺も開けたことないから、実は怖いんだけど。

 朝陽さんの言い訳があまりにも可愛いから、彼氏としてかっこつけるために虚勢を張った。



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