週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
切なく響く言い訳─彰
可愛くない嘘を塞ぐ名目でキスしたら、火がついた朝陽さんに襲われた。
「っはぁ…ん、彰…」
「気持ちいい?」
「きもちぃ…」
「久し振りだからすごいね、朝陽さん」
「んっ、あ、きらも…だろ」
「うん…俺もうやべぇ」
「ナカに、出してっ?」
朝陽さんが切なげに俺を見た。
「朝陽さんも、一緒にイケる?」
「う、ん、もーイキそ…」
「ん、じゃあイクよ」
俺の上で動いていた朝陽さんの腰を掴んで、下から突き上げる。
「あっ、あぁっ…はげし…」
「出すよ」
「っく、オレも…っ」
俺の上に倒れ込んで、はぁはぁと胸を喘がせている朝陽さんの目は虚ろだ。
名残惜しいけど、俺は朝陽さんの中から自身を抜いた。
「…やだ」
「もっとしたい?」
「ん」
「朝陽さんは元気だなー」
「うるせーバーカ」
「また明日ね」
「あー情けねーな」
「俺が本気になったら朝陽さん泣くし」
「お前、爪隠してんのか」
「うん」
「………ふーん…」
「…ごめんなさい」
「男なら虚勢の一つや二つ、しかたねーよ」
「やべ、朝陽さん男前」
「お前の情けなさが際立つからあんまり出さねーようにしてんだけどさ、やっぱり溢れるんだよな」
「そんな男前の朝陽さんに、お知らせがあります」
「なんだ、オレ様に用か」
「来週、ピアスの穴開けに行こ」
「え」
あ、固まった。
ちょっと予想はしてたけど。
「…実家がクリニックでさ。兄貴が皮膚科やってて」
「き、急、だな」
「まぁ、会ったついでに話してさ」
「そ…か、」
「ここから電車で30分くらいだから」
「…おう」
「大丈夫、怖くないよ」
「ったりめーだろ!誰が!」
「でも、顔色が悪い」
「貧血、だし。ただの」
「あー可愛いなぁもう」
想像の世界だから怖いんだろうな。
ガキが注射される前みたいな感じ。
朝陽さんの少し冷えた身体を抱き締めたら、素直にしがみついてきた。
「こ、怖いわけじゃないからな!」
「うん」
「武者震いっつーか…」
「朝陽さんは勇ましいなぁ」
「そーだろ」
「一瞬で終わるからね」
「っ…!」
「俺がついてる」
「しゃっくり、だし」
「うん」
俺も開けたことないから、実は怖いんだけど。
朝陽さんの言い訳があまりにも可愛いから、彼氏としてかっこつけるために虚勢を張った。
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