週刊『彰と朝陽』

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寂しがりは嘘つき─彰


 恋人が「会いたい」ってサイン出したら夜中でも飛んでいく、なんて話聞いても、俺は絶対ありえねーと思ってた。

 それがさ、あったんだよマジで。

 朝陽さんが相手ならしょうがないよね。

 実際はできてないけど、足さえあればすぐ帰ってた。

 真夜中にカレーうどん食って泣いてる朝陽さんを抱き締めに帰ってた。

 だけど、電車はねーし、車は免許がねーし、自分の情けなさを痛感した。

 真面目に免許を取ろうと思った。


「やっと会えた。朝陽さん…」


 朝陽さんはベッドの隅で丸くなって眠ってる。

 無意識に俺の場所を空けてるなんて、可愛いな…。

 ベッドに潜り込んで朝陽さんの頭を抱き寄せたら、細い腕が伸びてきて俺にしがみついた。

 朝陽さんの旋毛にキスをしてきつく抱き締めたら、呻き声が聞こえた。

 ちょっと力入れすぎたかもしれねー。


「朝陽さん、おはよ」

「ん…彰…?」


 朝陽さんはまだ眠そうな目をしばたたかせながら、俺の胸元でスンスンと鼻を鳴らした。


「なにしてんの」

「…匂い、違う」

「え?」

「彰の匂いじゃねー…」

「あ、これ兄貴の服なんだ」

「嫌だ、彰…彰がいいっ」


 朝陽さんは腕を突っぱねて、嫌だ嫌だと激しく首を横に振っている。

 なにこれ!

 まさかこれが、朝陽さんの本気デレ…?

 鼻血が出そうだけど、朝陽さんを汚すわけにはいかねぇ。


「朝陽さん、俺だよ。彰だって」

「違うもん…」

「キスしたら、わかるかな?」


 俺は俯いてる朝陽さんを仰向けに転がして、強引に唇を奪った。


「んぅっ、ん、んっ」


 久し振りだからやべーな。

 朝陽さんごめん…。

 心の中で謝ってから、俺はいきなり朝陽さんのパンツの中に手を突っ込んだ。


「…んんっ!」


 あ。

 朝陽さんの目蓋がパッチリ開いて、目が合った。


「ん、は…彰…」

「朝陽さん…」

「おかえり」

「た、ただいま」

「オレ…なんで彰に襲われてるんだろ…」

「えっと、それは朝陽さんが」


 説明。包み隠さず、さっきまでの本気デレな朝陽さんの様子を語って聞かせた。


「……………」

「寝惚けてたっぽいね。俺と離れて、寂しかったんだね」

「寂しくなんかねーよ!あれは演技だ!」

「えー、彰がいいの!ってあんなに可愛く駄々捏ねてたのに」

「あ、あれは盛り上げるための演出で」

「…嘘吐き」


 嘘吐きな口は邪魔だから、塞いであげた。



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