週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
そーゆー意味じゃない!─朝陽
「なにいきなり欲情してやがんだ!」
オレは左頬を赤くして正座する彰に、お説教を開始した。
彰の股間がどーにかなってんのは無視だ!
「ごめん…だって朝陽さんが…」
「オレがなんだよ」
「いきなり感じちゃうから」
「はぁっ!?」
「くすぐってたら、いきなり色っぽくなったじゃん」
「あ、あれはそーゆー意味じゃねーよ!」
「じゃあなんだよ」
「それはっ…」
確かに途中でビミョーなとこくすぐるから変になりそうだった。
でもオレ、やめてって言ったし!
「朝陽さん、超可愛いから」
「オレのせいに、すんなよな…」
「ここ、ビミョーなラインなんだね」
「ふぁっ…や、やめ」
「境界線とか、ソソる」
「ふっざけんな、この性欲魔神が!」
バチンッ!
二回目の制裁。
手のひらがジンジンする。
「うぅ…ひでぇよ朝陽さん」
「今日は朝イチで講義だろうが、てめーはっ!」
「あぁっ!そうだった!!」
「わかったら、とっとと行きやがれ!」
「はい!ありがと朝陽さん!」
ったくよ、代返きかねーってぼやいてたのは彰だろうがよ。
彰は、慌ただしく準備を済ませて出ていった。
急いでんのにオレの朝ご飯の心配をしていく辺りは、なんかさすがって感じ。
「…とりあえずなんか食うか」
冷蔵庫漁ったらいいもん見つけた。
チョコチップメロンパン。
牛乳と一緒に食うと最高だよな?
しかも家だから、贅沢に軽く温めてみたりして。
やべ、最高に美味い。
で、メロンパン食いながら、ケータイでネット。
ちょっと調べものだ。
いい感じのページに行き着いたオレは、もっかい冷蔵庫を漁った。
オレは日頃の行いや、運がいいから材料が全部見つかった。
ふっ、バカ彰め。
これでオレにひれ伏すがいい。
てか、彰の胃袋ゲットみたいな?
あとは今夜、これを彰に焼かせれば完璧だ。
オレもたまには嫁らしいことしねーとな。
ボウルにラップをかけて冷蔵庫に入れてから、メモ書きを始めた。
オレは今日、午前の講義終えたら午後からバイトだから、彰のが帰りが早いしな。
「今日の夜ご飯はしょうが焼きよ…っと」
特別サービスでハートもいくつか書いてやった。
あいつ、これ見たら鼻血出すんじゃねーかな。
ファンシーな出来になったそれを、冷蔵庫のボウルに貼り付ける。
妙な達成感に浮かれたオレは、張り切って家を後にした。
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