週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
目覚ましは止めたまま─朝陽
ピアスのお礼に奢ってやろーとしたら却下された。
なんでか聞いたら、店予約したって。
オレがこないだ行きたいって言ってた店だって。
なにそれ!
着いたらマジだった。
「彰ッ!愛してる!」
「なっ…!朝陽さん!」
たまにはデレんのもいいだろ?
個室だしさ、ここ。
注文はパネルでやるしさ。
店員は料理とか持って来るときしか入ってこねーし。
キスしてやったっていいだろ?
「今日の朝陽さん、超かわいーんだけど」
「惚れ直したか」
「うん、夢見てるみたいだ」
「夢は目覚ましの音で覚めます」
「え、俺目覚まし必須なのに」
「まぁそれまで楽しめよ」
「寝なきゃいけねーし、あと数時間じゃん」
「うん、好きだよ彰」
「ちょっ!今下半身にキタ」
「あ、オレこれ食いたいな」
「好きなもん食っていーよ」
「さっすが彰だな」
遠慮なく好きなもん食った。
彰の財布が気になったけど、ストックがあるっつってた。
年下のくせにしっかりしやがって。
帰ったら結構歩き回ったからくたくただった。
昨日したし、セックスなしでベッドに入ったら、彰が耳たぶ噛んできた。
「あっ、やめ…」
「なに朝陽さん、耳たぶ弱いの?」
「ん…そーみたいだな」
「舐めても反応薄いからノーマークだったわ…」
「詰めが甘いな、若造」
「いっこしか違わねーし!」
「いっこと数ヶ月だろ?」
「こまけー。とにかく次から耳たぶ噛んで攻めるわ」
「彰も弱点暴露しろよ」
「俺の弱点は朝陽さんだよ」
「そっ、そーいうのを訊いてるんじゃねーよ!」
「ははっ」
「もう!寝るからな!」
「はいはい、朝陽さんはもうちょいこっち」
「ん、」
ムカついたけど、彰の腕枕は気持ちいいから寄ってやる。
しばらく寝たフリしてたら、頭上から彰の寝息が聞こえてきた。
オレは彰を起こさねーように起き上がって、目覚ましのセットを解除した。
明日彰が起きんのは九時前だからいいだろ?
オレは八時までには絶対目が覚めるから大丈夫だ。
明日こそキスで起こしてやるよ。
だから、もうしばらくは夢見てろよな。
「大好き、彰。おやすみ」
-END-
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