週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
どこかへ連れてって!─朝陽
「彰」
「なーに朝陽さん」
「明日、日曜日だな」
「そうだね」
「バイトも、休みだ」
「重なるのはすっごい偶然だよね」
「おうよ」
話が終わった。
おい、何か言うことあんじゃねーの?
お前、オレの彼氏なんじゃねーの?
普通さ、オレが何か言う前にさ、言うじゃん。
デートしてくださいとかさ。
俺に朝陽さんの一日をくださいとかさ。
彰なら言うじゃん?
普通の彰なら言うね。
あれ、こいつ…彰?
「お前って彰なわけ?」
「はっ?」
「パッと見、彰なんだよな」
「なにそれ、俺の身体乗っ取られた?」
「かもしれない…」
「そ、そんな…いつの間に…」
「お前!何者だ!」
「いひゃいいひゃい、あひゃひひゃんっ」
「彰から出てきやがれこの野郎!」
散々ほっぺぐにぐにやったら、スッキリした。
「朝陽さんひでぇ」
「お前が普通じゃねーから悪いんだろ」
「普通ってなんだよ」
「普通は普通だろ!」
「解読できねー」
「明日はなんもない日曜日なんだぞ!?」
「…朝陽さん」
「なんだよ」
「デートしたいの?」
「はぁ!? っざけんなよ、誰が…っ」
「あはは、朝陽さんかわい」
「い、意味わかんね」
「デートしたいなら、言えばいいのに」
「オレはそんなんじゃねっ」
「じゃあしなくてもいいね」
「おま、したいんじゃないのかよ!」
「朝陽さんがデートしたくないのにしたって、つまんないでしょ」
「…!!」
「俺一人だけが楽しむことはできないしね」
「あ、彰がデートしたいなら、してやらなくもねー」
「えー…朝陽さんがしたくなったらしよ?」
「…………………」
なんだよこれ…。
彰のくせにナマイキなんだよ。
…ちくしょー。
彰のバカ野郎。
「あー!ごめん朝陽さん!」
「な、んだよ…!」
「明日朝からデートしよ?」
「し、したくなったのか」
「俺はいつだって、朝陽さんとデートしたいよ?」
「ん、そか」
「朝陽さんの明日一日、俺にくれますか?」
「…俺の日曜日はお高いんだぞ」
「うんうん、よく存じ上げております」
「じゃあ…どこかに連れてけ」
「喜んで!」
よし、許してやるか。
←Series Top
|