週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
プレゼントの中身─朝陽
よし、プレゼントはサングラスに決まりだ!
目的が果たせて清々しー気分になったオレは、彰にパンを分けてもらいながらサイコーの昼休みをすごしてるとこだ。
買うものが決まれば、後は当日勝負だからな。
オレのベルトを見ることになったのも、今思えばこのためだと思える。
だって、小物のある店に入りやすくなるだろ?
さりげなくサングラスのとこに行ったら彰が付いてきて、試し掛けするだろ?
その中で似合うのを覚えといて、テキトーなとこでトイレに彰を追いやったら買いに走る!
もしオレが戻るより先に彰が出てきても、軽くブラついてたら遠くに行っちまったってことにすればいー。
よし、完璧だな!
「このメロンパン、美味ぇな!」
「うん。よく知らないで買ってきたんだけどアタリだね」
「また食いてーな」
「いーよ。今度は朝陽さんも一緒に買いにいこ」
「ん。カレーパンも美味かったし、期待できるな」
「最後にこれもあるんだよ」
「ドーナツか!」
「ケーキドーナツだって。二個買ってきたから、一個あげる」
「サンキュ」
触ってみた感じは硬くて、最近のふわふわが売りのドーナツとは全然違う。
でも、この硬さがいーんだよな!
ザクザクしたクッキーみたいな表面が、すげー好きだ。
オレは間抜けな笑顔の彰に見つめられながら、甘いケーキドーナツにかぶり付いた。
「んっ、んめぇな!」
「あはは。ホントかわいーなぁ」
「……ん、彰も食えよ」
「うん。てか朝陽さん、その前に」
「なんだ?」
「このプレゼントの中身が気になるんだけど」
「プレゼント?」
彰がドーナツ片手に嫌そーな顔で指差してる紙袋は、オレが小型犬にもらったやつだ。
リサーチに必死だったから、存在をすっかり忘れてた。
「あー……開けるか」
「うん。物によっては捨てるからね」
「もったいねーな」
「最初からもらわなかったと思えばいーんだよ」
珍しく苛立ちを表に出してる彰に、袋の中身を託す。
中身まで引き裂くよーな勢いで破られた包装紙を回収してたら、彰がおもむろに立ち上がった。
「捨てる」
「?」
「やっぱり今開けてよかった」
「なにが入ってたんだ?」
「……服」
「は?」
「服が入ってた」
「どんな服だ? キモいのなら大掃除の時に着るやつに……」
「ダメだよ! これは捨てるんだから」
なんで彰がこんなに怒ってんのか、わけがわかんねー。
オレはゴミ箱に向かう彰の背中を見ながら、首を傾げてドーナツをかじった。
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