週刊『彰と朝陽』

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白衣の天使─彰



 児童の更衣室として用意された空き教室。

 小さい机と椅子に懐かしさを覚えながら、俺はぐるぐると教室内を歩き回っていた。

 朝陽さん、大翔に変なことされてねぇかな。

 ま、大翔は本命のいる実の兄貴だし、朝陽さんも自衛のできる人だからそこまで心配してないけど……。

 でも……朝陽さんが触られるなんてやっぱ無理、耐えられない。

 朝陽さんは俺のなんだから!

 俺は身体をドアの方へ向けて、素早く一歩踏み出す。

 すると同時にチャイムが鳴り出して、手を掛けようとしてたドアが開いた。


「あきらっ」

「あ……」


 廊下からドアを開けたのは、かわいー笑顔を浮かべた白衣の天使。

 勢い余って胸に飛び込んでくるその身体を受け止めると、フワッとシャンプーの匂いが上がる。

 …………やべ。


「朝陽さんっ」


 愛しさと鼻血が込み上げてきて、俺は堪らず腕の中の天使を抱き締めた。


「ん。寂しかったか?」

「うん……今会いに行こーとしてた」

「そか。でも、もーすぐガキ共が来るから放せよ」

「大丈夫だよ。ガキだし、まだ時間がかかるよ」

「わかんねーだろ! あんま話し込むなって魔王に言われたし、すぐに戻らねーと……」

「あ、大翔には変なことされてない?」

「されてねー。されたら、再起不能にしてやる」

「あはは。そりゃキツいね」


 朝陽さんの勇ましー言葉にちょっと安心して力を緩めたら、腕の中から天使が出てってしまった。


「安心しろ! てか夜は魔王が寿司を奢ってくれるらしーから、真面目に働くぞっ」

「え。寿司ってマジで?」

「さっき言ってた。ちょっと彰をからかいすぎたから、夜ご飯は寿司でも食いに行くかーって」

「へぇ……」


 今回の報酬に加えて夜飯が奢りで寿司って。

 やたら太っ腹でキモいな、大翔の奴。

 でも、ホントに奢ってくれるんなら遠慮なく食うけど!


「そーいうわけで、元気出してがんばれ! オレもがんばるから」

「うん、ありがと朝陽さん。大好き」

「ん」

「軽くキスしていー?」

「しかたねーな。手短にしろよっ」

「ありがと」


 天使がくれた元気で、ちゃんと仕事ができそーだ。

 俺はほんのり熱をもったほっぺを両手で包み込んで、触れるだけのキスを落とした。



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