TRUST ■しおりを挿む
□ラブラブマグカップ
やたらファンシーな店見掛けたから、案内板の前で昼ご飯食う店に迷って唸ってる朝陽さんに内緒でマグカップ買った。
検査行ってきて昼食べて、とりあえず今すぐ必要なもんだけ買って帰ってきた。
「朝陽さん、コーヒー飲む?」
「ん、飲む」
買ってきたもの広げてる朝陽さんはこっちに背中向けてるから、こっそり買ってきたマグカップ使うことにした。
「はい朝陽さん。彰スペシャル」
「ありがと…な、なんだこれ」
「ははっ、偶然見付けたから買った」
「やたらかわいーな」
マグカップには“あさひ”と“あきら”って名前が入ってて、ハートがそこかしこに散らばってる。
「でしょ、一目惚れ」
「てか“あさひ”ってよくあったなー」
「朝陽さんのために職人が作ったんじゃね。って、なに俺の朝陽さんに、職人め」
「一人で言って一人で嫉妬すんじゃねーよ」
「だって朝陽さんは俺の朝陽さんだし」
「当たり前だろ。不安なら名前でも書いとけよ」
「それいいね」
「マジか」
「できるなら」
「おそろのピアスぐらいならしてやる」
「おー、じゃあ早速バイト探そう」
「そうだ、オレら二人でバイトすんじゃん」
「うっかり忘れてたね」
「コーヒー飲んだら雑誌買いにいくぞ」
「ん、怪我も気になんなくなってきたしね。若くてよかった」
「よし、早く飲め」
朝陽さん、やたら嬉しそうにマグカップ眺めながらコーヒー飲んでる。
よかった。恥ずかしい思いした甲斐あった。
二人とも受かれるバイトのアテがあるんだけど、今日はバイト雑誌眺めながらいちゃいちゃしよう。
早く言えって後で蹴られるかな。朝陽さんにならいいや。
やべ、俺マゾじゃないはずなのにマゾかもしれね。
-END-
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