週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
発見─朝陽
「ん? なんだコレ」
日曜日の昼下がり。
明日の古紙回収に備えてリビング軽く片付けてたオレは、古い雑誌の間に二つ折りの封筒を発見した。
どこにでもある、A4サイズのなんも書いてねー茶封筒だ。
彰が読んでる雑誌に挟まってたから、たぶん抜き忘れだな。
いつものオレなら、中身を気にしねーでそのまま彰に渡してやるとこだ。
でも……。
「こいつが、見てくれって言ってる!」
どーしてか、やたら訴えかけてきやがるんだ。
無地の茶封筒のくせに。
オレはチラ見で時計を確認してから、おもむろに封筒の中へ手を突っ込んだ。
◆ ◆ ◆
「朝陽さん、ただいま」
「んっ、おかえり」
掃除道具を片付けて手を洗ったとこで、ちょうど彰がバイトから帰ってきた。
さっきマンションのゴミ捨て場まで超ダッシュで行って帰ってきたとこだから、マジでギリギリセーフだ。
なんでかって言うと、古紙は前日の昼から当日の朝七時までに出さねーとならねーから。
回収に時間が掛かるから、業者の巡回が早いらしー。
というわけで、軽く汗ばんでるオレはなんでもねー感じを装いながら、急いで冷蔵庫から夜ご飯の材料を出した。
ちなみに今日の夜ご飯は親子丼だ。
オレはさっそく、玉ねぎの皮を剥き始める。
すると、彰の奴がベッタリと背中にくっついてきた。
「あーさーひーさんっ」
「疲れたか」
「うん……。春休みはキツい」
「あと一週間の我慢だ」
「だねー。クレーンゲームのチェックが特に大変だった。すぐ崩されて」
「メダル行けたら一番いーよな」
「朝陽さんと一緒にメダルっていうのが至福だね」
「お前は、ホントにオレが好きだな」
「好きだよ……」
「っ、ん」
いきなり顔を上向きにさせられて、唇を塞がれた。
皮の剥けた玉ねぎが、オレの手から転がり落ちていく。
包丁取る前でよかった……。
そんなことを思いながら、オレは彰の熱い舌をおとなしく受け入れてやった。
キスだけなら、別に……嬉しーし。
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