週刊『彰と朝陽』

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バカだけど憎めない─朝陽



 クレープの中身を考えてたら、お腹が減ったけどなんとか講習を乗り切れた。

 あとは写真撮影して、免許を新しーのと交換したら終わりだ!

 そしたらいよいよ、クレープが食える。

 オレは講習が終わったらすぐに部屋を飛び出して、彰のとこに向かった。


「あきらっ」

「朝陽さん! お疲れ」

「ん。なんかご機嫌だな」

「そ、そーかな。朝陽さんに会えたからかも」

「嘘吐くな」

「嘘じゃないし!」

「でも、それだけじゃねーだろ」

「うぐぐ……」

「オレに会えた以外の理由もあるはずだ。ニヤニヤしやがって」

「えっ。俺、ニヤニヤしてる!?」

「口元がすげー緩んでるのに、自覚できてねーのか。おじーちゃんかお前は」

「マジで!」


 彰は慌てたよーに自分のほっぺをペタペタ触って、必死に表情を引き締めてやがる。

 あれは、何か企んでる顔だ。

 どーせオレが関わってる変態じみたことだろーけど、一応聞き出すか。

 バカなことだったら殴って、止めてやらねーとならねーからな。

 ま、常識の範囲内なら許してやらなくもねーけど。


「それで、何が嬉しーんだ」


 オレは写真室へ移動する最中、なんとか表情を引き締めた彰を揺さぶりに掛けてやった。


「あ、えっと……あの」

「彰が変態なのはわかってるから、気にせずに言ってみろ」


 口ごもる彰に、逃がさねーって気迫を込めて畳み掛ける。

 すると、観念したよーに息を吐いた彰が焦りながら話しだした。


「朝陽さんの、古い免許を……返して、もらおーと……」

「オレの免許?」

「写真が欲しくて」

「そーいやこないだ、オレの免許見てやたら興奮してたな」

「うん……」


 確かこいつ、鼻血が出そーだとか言ってたよな。

 ただのガキくせーオレなのに。

 ま、彰はオレにベタ惚れだからしかたねーか。


「……オレが言えば、返してもらえるのか?」

「え」

「免許。どーせお前が言ってもダメだろ?」

「俺が訊きに行った時、別に何も言ってなかったけど……」

「バカか。誰が他人の古い免許を欲しがると思うんだ。普通本人のって前提で言うだろ」

「あ、そっか」

「彰は間抜けだな」

「朝陽さんのことしか考えてなかった……」


 ったく、こいつは。

 オレが絡むとすぐバカになりやがる。

 でも、理由が理由だし憎めねーんだよな。

 なんだかんだ言って、嬉しーし……。

 言ってやらねーけどな!


「じゃあ並んでくるから、彰はここで待ってろっ」


 オレは、熱い顔をごまかすよーに彰の硬い腹筋を軽く殴って、列の最後尾へ走った。



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