週刊『彰と朝陽』

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勝負の行方─彰



「そこでオレが、コーナーしか意識してねー魔王の穴を突いて、こー……上手くコース取りしたんだ」

「えー、最初から仕組んでたわけ!?」

「当たり前だ!」

「すげぇ朝陽さん!」


 夜飯をテーブルに並べてたら、朝陽さんが今日のゲーム大会の作戦を聞かせてくれた。

 大翔に勝つために、俺と先に対戦させて癖を見てたらしー。

 ちなみにメインメニューは、ハンバーグポトフ。

 普通ポトフっつったらウインナーだけど、ハンバーグのが絶対に美味い。

 スーパーの肉コーナーで安売りしてる生ハンバーグを買ってきて、焼き色だけ付けたら千切って油ごと入れるだけ。

 肉汁がスープに溶け出すから、コンソメだけじゃ味気ない野菜でもかなり美味くなるんだ。


「だろ! 崇めてもいーんだぞっ」

「うん、超崇める。朝陽さん大好き」

「ん。てか、早く食うぞ!」

「腹減っちゃった?」

「彰のハンバーグポトフは美味ぇからな」

「そーだね。朝陽さん、ポトフ嫌いだったのにね」

「でも、これ食ってみてすぐ好きになった」

「すげぇ嬉しーな」


 俺の作る飯で、朝陽さんの好き嫌いが減ってく。

 それが、すげぇ幸せ。

 朝陽さんと同棲するよーになってから、ホント料理が楽しーんだよね。

 いや、生活そのものが楽しーのか。

 朝陽さんがいるってだけで、何やってても充実してるんだ。

 別行動してる時でもそーだからすごい。

 去年、朝陽さんに出会うまでのだらしねぇ俺が嘘みたいだ。

 ダラダラと大学行って、寄ってくる女とテキトーに付き合って、飯も食えりゃなんでもいーやって感じだったしな。

 今日はこの後、朝陽さんとゲームでもしながら普通にいちゃついてたい。

 セックスするよりも、ただラブラブしてたいって気分なんだ。

 ……でも、それが俺だけの気持ちだったら意味がない。

 俺は、朝陽さんの機嫌を窺うよーに話しかけてみた。


「朝陽さん、美味し?」

「ん。美味ぇ!」

「よかった」

「まだあるんだろ?」

「うん、明日の朝も食えるよ」

「トマトアレンジがいーな」

「いーよ。朝飯だし、軽めのリゾットにする?」

「美味そーだな!」


 機嫌はよさそーな感じだ。

 じゃあ思い切って勝負に出るか?

 寝るまでゲームしよって言い方なら、角が立たないよね。


「てか朝陽さん、この後のことなんだけど……」


 この勝負の行方は、言うまでもなく────。


 -END-



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