週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
意外に純粋─朝陽
オレたちは最初に、ローションで遊ぶことにした。
洗い場は寒いから、熱めのシャワーで温めた上に湯船からの湯気をこもらせる作戦だ。
彰がそれをしてる間に、オレは滑り止めマットを敷いてイスを二つ並べることにした。
一つは真ん中がやたら窪んでて表面積が狭いんだけど、贅沢は言ってられねーか。
てか彰に座らせれば、座り心地はオレに関係ねーよな!
オレはさっそく、変な方のイスを彰に譲ってやることにした。
「彰はそっちな」
「え」
「座るとこはちっせーけど、彰は脚がなげーから高さがある方がいーだろ」
「あぁ……。うん、ありがと」
「イスが二個もあるのは地味にありがたいよな。ま、セックスするのが前提のホテルだから当たり前か」
「そーだね。てか朝陽さんって、たまにすごいピュアだよね」
「はぁ? どーいう意味だ」
「すげぇかわいーって意味だよ」
「な、なんだいきなりっ」
意味わかんねー!
ムカつくから、オレはローションを彰にぶっかけてやった。
「つめてッ! いきなりだと冷たいよ、朝陽さんっ!」
「うるせー我慢しろ。男の子だろ!」
「うぅ……」
「しかたねーな。これからオレが温めてやるから待ってろ」
あんまり虐めたらかわいそーだし、こんなもんで許してやるか。
三回ぐらい掛けたとこで気が済んだオレは、流れ落ちねーようにローションを手のひらで受け止めた。
そして、それを軽く手に馴染ませたら、彰に塗り広げていく。
肩から腹筋まで撫でてたら、ぬるぬるのせいかオレまで気持ちいー。
いつもはオレのナカってか入り口をほぐすためにしか使わねーから、身体の表面に塗るのは変な感じだ。
「気持ちいーか?」
「うん……。変な感じ」
「オレも。なんかセックスしたくなってくるな」
「ムラムラしちゃった?」
「ちょっとだけ……」
「そっか。ローション、朝陽さんにも塗っていー?」
「……ん」
変なイスから降りた彰が、マットに膝を着いて近付いてきた。
それに合わせてオレもイスを降りて、彰に抱き付いてみる。
ぬるぬるの肌がくっついたら、それだけでも変な感じでマジやべー。
「朝陽さん、垂らすよ……」
彰の声が耳をくすぐる。
無言で頷いたら、オレの背後でボトルの蓋の開く音がした。
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