週刊『彰と朝陽』

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密かな企み─朝陽



 今日のシチューは、今までで一番気合いが入ってて美味ぇ。

 朝から、ブイヨンでよく煮込んだらしー野菜。

 それに鶏もも肉を入れて、ルウと牛乳と生クリームで仕上げたら、黒胡椒でパンチを効かせる。

 彰渾身の、スペシャル生クリームシチューだ。

 オレに生クリームを塗って食えるっつー変態な願望が叶う喜びが、サイコーに美味いシチューを生み出しやがった。

 彰の変態パワーは、ホントに果てしねーな!

 そーやって変に感心しながらシチューを食ってると、彰が嬉しそーに話し掛けてきた。


「朝陽さん、美味しー?」

「ん。美味ぇ」

「よかった。おかわりする?」

「そーだな……。半分ぐらいにしとくか」

「お腹いっぱい?」

「この後、運動するんだろ。満腹になったら都合わりーからな」

「あ……! そーだね」


 軽くこの後のセックスを匂わせるよーに言ってやったら、彰が赤面しやがった。

 オレがなんのためにおかわりを少なめにするか、気付く様子がねー。


「じゃあ入れてくるから、お皿貸して」

「ん。ホントに半分でいーからな」

「わかった。肉はどーする?」

「二つぐらいがいーな」

「了解」


 いそいそと席を立ってキッチンへ向かう彰。

 オレは、その後ろ姿を見て、軽くほくそ笑んだ。

 ……おかわりを控える理由は、確かにセックスのためだ。

 でも、彰が思ってるよーな理由じゃねー。


「はいお待たせ」

「サンキュ」

「まだあるから、明日も食べられるよ」

「オレ、オムシチューが食いてーな!」

「いーね。ウインナーとマッシュルームのケチャップライスでいー?」

「美味そーだな」

「じゃあ明日のブランチにしよ」

「寝坊する気満々だな」

「う、うん」

「気にするな。オレも……してーし」

「あ、朝陽さん……!」

「早く食って片付けたら、すぐにしよ」

「喜んで!」


 彰はオレのセリフにデレデレしながら、シチューを食う速度を速めた。

 オレもそれに倣って、ちょっとペースを上げる。

 早くセックスしてーのは、別に嘘じゃねーからな。

 ただ、彰が思い浮かべてる通りにはさせねーってだけだ。



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