週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
密かな企み─朝陽
今日のシチューは、今までで一番気合いが入ってて美味ぇ。
朝から、ブイヨンでよく煮込んだらしー野菜。
それに鶏もも肉を入れて、ルウと牛乳と生クリームで仕上げたら、黒胡椒でパンチを効かせる。
彰渾身の、スペシャル生クリームシチューだ。
オレに生クリームを塗って食えるっつー変態な願望が叶う喜びが、サイコーに美味いシチューを生み出しやがった。
彰の変態パワーは、ホントに果てしねーな!
そーやって変に感心しながらシチューを食ってると、彰が嬉しそーに話し掛けてきた。
「朝陽さん、美味しー?」
「ん。美味ぇ」
「よかった。おかわりする?」
「そーだな……。半分ぐらいにしとくか」
「お腹いっぱい?」
「この後、運動するんだろ。満腹になったら都合わりーからな」
「あ……! そーだね」
軽くこの後のセックスを匂わせるよーに言ってやったら、彰が赤面しやがった。
オレがなんのためにおかわりを少なめにするか、気付く様子がねー。
「じゃあ入れてくるから、お皿貸して」
「ん。ホントに半分でいーからな」
「わかった。肉はどーする?」
「二つぐらいがいーな」
「了解」
いそいそと席を立ってキッチンへ向かう彰。
オレは、その後ろ姿を見て、軽くほくそ笑んだ。
……おかわりを控える理由は、確かにセックスのためだ。
でも、彰が思ってるよーな理由じゃねー。
「はいお待たせ」
「サンキュ」
「まだあるから、明日も食べられるよ」
「オレ、オムシチューが食いてーな!」
「いーね。ウインナーとマッシュルームのケチャップライスでいー?」
「美味そーだな」
「じゃあ明日のブランチにしよ」
「寝坊する気満々だな」
「う、うん」
「気にするな。オレも……してーし」
「あ、朝陽さん……!」
「早く食って片付けたら、すぐにしよ」
「喜んで!」
彰はオレのセリフにデレデレしながら、シチューを食う速度を速めた。
オレもそれに倣って、ちょっとペースを上げる。
早くセックスしてーのは、別に嘘じゃねーからな。
ただ、彰が思い浮かべてる通りにはさせねーってだけだ。
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