週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
発見!─彰
「これ、このままできんぴらごぼうが作れるな!」
「便利だね。炒めて味付けするだけだよ」
「ん」
物珍しげに商品を見て回る朝陽さんが、超かわいー。
今、冷凍食品ゾーンまで来たんだけど、ホントにいろいろありすぎ。
切ってあって便利な野菜が結構多いんだ。
生野菜に比べたら、あんまり美味そーには思えないけど。
店とかだと、このまま調理するんだろーな。
俺は、はしゃぐ朝陽さんを見守りながら、この後訪れる最後のゾーンを軽く見遣った。
チルドゾーンで、ベーコンとかハム、チーズなんかが置いてある。
ベーコン辺りは、遠目にも業務用サイズなのがわかる。
もしあの中にでっかい生クリームがあったら、今度こそ大量に余らせて朝陽さんに塗るつもりだ。
生クリームの冷たさにぷっくり膨らんだ、朝陽さんの甘いイチゴ……。
あー、やっべぇ!
鼻血出そー!
「彰?」
「!」
生クリーム塗れの朝陽さんを想像してたら、いきなり本物に顔を覗き込まれた。
「あ、朝陽さんっ、なーに!?」
「もーおかずのとこまで来たぞ。何ぼーっとしてやがるんだ」
「あ、え、えっと」
「運転疲れか?」
「う、うん。ちょっとね」
危ねぇ。バレてない……よな?
デコレーションした朝陽さんのイチゴにむしゃぶりつく妄想をしてたとか知れたら、絶対怒られる。
でも、朝陽さんは怒るどころか、心配げに眉尻を下げた。
「帰りはオレが運転するか?」
「……大丈夫だよ。こんなんでへばってると、サファリパークに行けないし」
「そか……」
「心配してくれてありがと。ホントに大丈夫だから。朝陽さん、大好きだよ」
「っ! ば、バカっ! ここは店だぞ!」
「うん。でも言いたくなったんだ」
赤くなった朝陽さんが、グーで腹筋を殴ってきた。
ホントかわいーな。
好きすぎてヤバい。
てか生クリーム、あるといーな。
実は今まで何回か試みたんだけど、スーパーのは小さいから無理だったんだよね。
朝陽さんが“ウィンナー・コーヒー”を飲んでみたいって言い出した時もあったし。
とりあえず、500mlぐらいは一つのパックに入っててほしーな。
俺は祈りながら、冷凍のささみフライやチキンナゲットをカゴに入れて歩いた。
そして、チルドゾーンへ。
「あ、ベーコン買うぞ」
「うんうん」
朝陽さんは、好きなベーコンを見付けてご満悦だ。
俺も、大容量の生クリームを見付けたいな……。
「……あった!」
フレッシュクリーム500mlだ!
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