週刊『彰と朝陽』

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お買い物─朝陽



 店の中は倉庫みてーに殺風景だ。

 でも売ってるもんがでけーから、やたらテンションが上がる。

 オレはカートを押す彰から離れねーように気を付けながら、目につくもんを片っ端から手に取った。


「見ろ彰! 紅しょうが1kgだぞ」

「すごい多いね。みじん切りだし、たこ焼き屋ができそー」

「業務用だからな。てか、たこ焼き食いてーな!」

「そーいや、たこ焼き屋は家の近くにないよね。帰りに探そっか」

「ん。後でオレがケータイで調べてやる」

「うん、ありがと」


 楽しみだ!

 てか、煮豆1kgとかもある。

 こんなに食えねーだろ。

 甘いおかずは、ちょっとだけ苦手なんだよな。

 オレは紅しょうがを戻して、いろんな煮豆を軽く突っつきながら歩いた。

 そしたら、彰がいきなり立ち止まった。

 彰の見てる方は、保存食ゾーンみてーだ。


「朝陽さん、春雨500g入りがあるよ」

「! 買うか!?」

「欲しい?」

「欲しーな」

「じゃあ買ってこっか」

「よし、オレが選んでやる」

「三つぐらい買っちゃう? かさ張るけど軽いし、乾物は日持ちするからいーよね」

「オレ、春雨餃子スープがいーな」

「じゃあ今日食う? 餃子も探そっか」

「ん。今日食うんなら、春雨は四つだな」

「いーよ」


 春雨2kgは多い気がするけど、すぐなくなるだろ。

 オレが四つ選んでカゴに入れると、次は調味料ゾーンに行くことになった。

 さっそく粉末だしとかコンソメなんかが、次々とカゴに放り込まれていく。

 主夫にしか見えねーその手さばきに感心してたら、向こうに肉ゾーンが見えてきた。


「彰っ」

「なーに、朝陽さん」

「あの冷凍肉のパック、すげーでかいぞ」

「ホントだ! 安かったら買おーよ」

「冷凍のおかずも買うんだろ? 保存できるのか?」

「たぶん……。冷蔵庫にも入れるし」

「紅白まんじゅうも、だいぶ少なくなってきたしな」

「うん。豚肉があれば、明日はしょうが焼きにしよ。結構使えるし」

「すげー! 次々に献立が決まってくな」

「楽しーね」


 まだ半分ぐらいしか回ってねーから、すごいことになりそーだ。

 下手したら、一ヶ月ぐらい献立を考えなくてもよくなるかもしれねー。

 オレはどんどんいっぱいになってくカゴを見ながら、明後日はシチューがいーな、なんてふと思った。



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