週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
お買い物─朝陽
店の中は倉庫みてーに殺風景だ。
でも売ってるもんがでけーから、やたらテンションが上がる。
オレはカートを押す彰から離れねーように気を付けながら、目につくもんを片っ端から手に取った。
「見ろ彰! 紅しょうが1kgだぞ」
「すごい多いね。みじん切りだし、たこ焼き屋ができそー」
「業務用だからな。てか、たこ焼き食いてーな!」
「そーいや、たこ焼き屋は家の近くにないよね。帰りに探そっか」
「ん。後でオレがケータイで調べてやる」
「うん、ありがと」
楽しみだ!
てか、煮豆1kgとかもある。
こんなに食えねーだろ。
甘いおかずは、ちょっとだけ苦手なんだよな。
オレは紅しょうがを戻して、いろんな煮豆を軽く突っつきながら歩いた。
そしたら、彰がいきなり立ち止まった。
彰の見てる方は、保存食ゾーンみてーだ。
「朝陽さん、春雨500g入りがあるよ」
「! 買うか!?」
「欲しい?」
「欲しーな」
「じゃあ買ってこっか」
「よし、オレが選んでやる」
「三つぐらい買っちゃう? かさ張るけど軽いし、乾物は日持ちするからいーよね」
「オレ、春雨餃子スープがいーな」
「じゃあ今日食う? 餃子も探そっか」
「ん。今日食うんなら、春雨は四つだな」
「いーよ」
春雨2kgは多い気がするけど、すぐなくなるだろ。
オレが四つ選んでカゴに入れると、次は調味料ゾーンに行くことになった。
さっそく粉末だしとかコンソメなんかが、次々とカゴに放り込まれていく。
主夫にしか見えねーその手さばきに感心してたら、向こうに肉ゾーンが見えてきた。
「彰っ」
「なーに、朝陽さん」
「あの冷凍肉のパック、すげーでかいぞ」
「ホントだ! 安かったら買おーよ」
「冷凍のおかずも買うんだろ? 保存できるのか?」
「たぶん……。冷蔵庫にも入れるし」
「紅白まんじゅうも、だいぶ少なくなってきたしな」
「うん。豚肉があれば、明日はしょうが焼きにしよ。結構使えるし」
「すげー! 次々に献立が決まってくな」
「楽しーね」
まだ半分ぐらいしか回ってねーから、すごいことになりそーだ。
下手したら、一ヶ月ぐらい献立を考えなくてもよくなるかもしれねー。
オレはどんどんいっぱいになってくカゴを見ながら、明後日はシチューがいーな、なんてふと思った。
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