週刊『彰と朝陽』

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惚れ直した瞬間─朝陽



 オレたちは今日、彰の運転で業務用食材が売ってるスーパーにやって来た。

 彰の運転練習と買い出しと、ドライブデートの三つを兼ねて、だ。


「彰! もーすぐだぞ」

「ホントだ。看板があるね」


 国道を案内看板の通りに右折してしばらく進むと、広い駐車場と平べったい建物が現れた。

 一階建てだからか、やけにでけー!


「すげー!」

「思ったより建物がでかいね」

「ん。売ってるものもでけーからな」

「いーものがあるかな?」

「ある!」

「朝陽さん、来たことあんの?」

「来たことはねーけど、直感だ」

「あはは。朝陽さんは勘がいーもんね」

「オレだからな」

「うん。大好き」

「ん」


 車は駐車場をぐるっと回って、結構いー場所に停まる。

 手慣れた様子で車を停めたりサイドブレーキを引く彰は、なかなか様になっててかっこいー。

 ちょっとした仕草で、たまにドキッとしてしまう。

 言ってやらねーけどな。


「よし、気合い入れて行くぞ!」


 オレはちょっと熱くなった顔をごまかすよーに彰の太ももを軽く殴ってから、シートベルトを外して車を降りた。

 外はさみーけど、熱い顔が冷えるからちょうどいーな。


「うわっ、さむ! 駐車場は風を遮るものがないからすごいね。朝陽さん大丈夫?」

「彰は軟弱者だな。オレはこれで、ちょうどいー」

「マジで? すごいなぁ朝陽さんは」

「当たり前だ」

「でもこっち来て。そこは風当たるから」

「あっ」


 彰がオレの腕を軽く引いて、自分の傍らに誘導した。

 オレから見て風上の方向には彰の身体があるから、寒さがかなり和らぐ。

 寒がってたくせに……バカじゃねーか?

 しかも嬉しそーな顔で笑いやがって。


「ちょっとマシでしょ?」

「ん……」

「じゃあ行こっか」

「あきらっ」

「なーに、朝陽さん」

「寒くねーのか?」

「朝陽さんがいるから、大丈夫」

「なんだそれ」

「嬉しくて心がポカポカする感じ?」

「心があったけーと、身体もあったけーのか?」

「うん。隣にいるだけで俺をあっためてくれるから、朝陽さんはすごいね」

「…………彰も、すげーよ」

「? 俺も?」

「いっ、いーから行くぞ! バカッ」


 ……惚れ直したなんて、言ってやらねー!

 オレは彰のコートを掴んで、入り口に向かって突き進んだ。



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