週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
チョコレートよりも甘い─彰
熱い抱擁はあれからすぐに、俺の情けない腹の音で終了した。
燃え盛る嫉妬も、さすがに空腹には勝てなかったんだ……。
でも、飯に負けてホントによかった!
なにしろ、ラブラブバレンタインカレーだったんだから。
「美味すぎるよ朝陽さん!」
「当たり前だ」
「うん、マジやべぇ」
ニンジンとじゃがいもがハート形とか、愛が詰まりすぎだろ!
しかも、ニンジンはすげー柔らかいのに、じゃがいもはホクホクで煮崩れしてない。
なのにカレー自体に野菜が溶け込んで、旨味がよく出てるし。
朝陽さんが俺のために、手の込んだことしてくれたんだ。
幸せすぎて、涙と鼻血がいっぺんに出そー。
「嬉しーか?」
「超嬉しー!」
「魔王にあげた分なんて、くだらねーだろ?」
「くだらなくはないけど……。朝陽さんの愛で癒されたから、大翔は許す」
「あ、愛とか言うな!」
「あはは。恥ずかしー?」
「バカ! チョコ無しにするぞっ」
「それはやだ!」
「なら黙って食え」
朝陽さんは恥ずかしがり屋だな。
ま、そこがかわいーんだけど。
「でも、ホントに愛を感じるよ」
「……そか」
「こんな美味いカレー、食ったことないし」
「店のよりも美味いのか?」
「うん。朝陽さんが俺のために作ってくれたカレーだからね」
「ん……よかった」
「ありがと。すげぇ幸せで泣きそーだよ」
「泣いてもいーけど、鼻血は出すなよ」
「が、がんばる」
どーしてバレたんだろ。
俺は鼻の奥の痛みに堪えながら、世界一美味いカレーを平らげた。
◆ ◆ ◆
世界一美味いカレーの後は、チョコよりも甘いキスが待ってた。
こたつでチョコ食わせてもらってたら、朝陽さんがキスしてきたんだけど……。
それがホントにチョコより甘くてやべぇ。
「んっ……甘い、な」
「朝陽さんも、そー思う?」
「一人で食うより、甘い」
「そーだね。もっとキスしていー?」
「なくなるまでか?」
「うん」
「いーけど……」
「セックスしたくなっちゃう?」
「ん」
「そしたら俺がベッドまで運ぶよ」
「でも、片付けしてねーし」
「片付けは明日の朝にでも俺がするから。ね?」
「っん、んぅ」
囁きながらちょっと強引に唇を塞いだら、朝陽さんが素直に舌を絡めてきた。
とろけるキスでたっぷり翻弄してから、ベッドに運んであげる。
今日は久しぶりに、主導権を握れそーだ。
-END-
←Series Top
|