TRUST

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ご主人様と俺(side 彰)

□告白と決別


「……惚れた」

「はッ!?」


 いち早く反応したのは朝陽さん。


「朝陽さんに惚れた。だから今すぐくれよ」

「…今から朝陽とヤッて、朝陽が反応しなかったら退いてやる」

「タツヤ!何言ってんの」

「朝陽が好きな男に見られながら抱かれて反応するようだったら、手放さないってんの」


 約束が違うだろ、とか。

 お決まりっぽいセリフ吐いて会話続ける気はなかった。

 朝陽さんにやらしー笑み浮かべて舌なめずりするこいつに、最初は昨日のお返し。

 重い右フックがタツヤの左頬に綺麗に入る。

 ちょこっと高さ合わなくて不安だったけど、まぁまぁ上出来。

 脳が揺さぶられてわけわかんなくなってるうちに朝陽さん回収。


「朝陽さん。平気?」

「へ、平気じゃねー…」

「そうだね、痛そう」


 表面上、昨日の俺ほどじゃないけど、口の中切れてるっぽい。


「ち、ちげーよバカ」

「なによ」

「おま、ほ、ほ、」

「うん、落ち着け」

「っるせー…」


 時間ならいっぱいあるから背中撫でて落ち着かせてやる。

 ホントは早く荷造り始めたいけど。


「…ほ、惚れたッて、さっき」

「あぁ、うん。言ったね」

「…………」

「あ、マジだよ?」

「…マジかよ」

「うん、何。信じらんない?」

「お前、難攻不落の大型犬じゃん」

「ぶっ、どんな犬だよそれ」


 いくら難攻不落でも、こっちから扉開いといたら簡単なのわかるでしょ、朝陽さんなら。

 それに俺から告白したんだし。


「おい」

「あ。魔神復活しちゃったから話は俺ん家行ってからしよ。
 朝陽さんは荷造りしといてよ」

「う、うん」


 朝陽さんの身体解放して背中押すと、素直に出てってくれた。


「あんた、筋肉だけの駄犬じゃなかったんだな」

「そんな犬っぽいかな、俺」

「見た目な」

「それより、朝陽さん貰ってくから」

「………朝陽があんた選ぶんならどうしようもねーよ」

「ん、大事にします」

「あっさりしすぎかもしれねーけど、ちゃんと好きだったから。
 寂しがらせたお詫び」

「はは、俺らが幸せならどうでもいいし」

「…朝陽の飼い犬のくせにマゾじゃないのな」

「朝陽さんにしかなついてないんで」


 こいつの心情とかホントどうでもいい。

 もう朝陽さんには手出ししないって約束させた。

 信用はしてないけど。



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