TRUST ■しおりを挿む
ご主人様と俺(side 彰)
□秘め事と修羅場再び
朝陽さん見送って、忠犬らしく戸締まりした。
二度寝するかな。朝陽さんのベッドで。
朝陽さんのいない朝陽さんのベッドに転がったら、なんか手持ち無沙汰だった。
「…やば」
急に朝陽さんの匂い意識してしまった。
香水付けてないくせにいい匂いするんだ、朝陽さん。
「っ…あ、…」
ごめん、俺駄犬だったわ。
「はぁ…、朝陽さん、…朝陽」
ホントごめんね。朝っぱらから。
でも、許して。朝陽さんのこと好きだって思ったら止まらない。
期待していい? 朝陽さんがタツヤと別れんの。
俺のせいだって思っていい?
「朝陽…っ、好き、だ…」
朝陽さんが帰ってきて、俺んとこ来たら、好きだって言ってみていい?
さすがに今オカズにしてるのは言えないけどさ。
他のことなら隠し事しないし、浮気しないし尽くすし、俺。
朝陽さんがよければずっと傍にいるし。
いつもより早い絶頂感に、慌ててティッシュ手繰り寄せる。
「っ…く、やべっ」
俺、早漏になったかも。朝陽さんのせいだ。
イッた後の脱力感に浸ってたら睡魔がやってきた。
二度寝しよ。おやすみ朝陽さん。
◆ ◆ ◆
「ってー、やめろよ!」
ん、朝陽さん?
「うるさい、とりあえずヤらせろ」
「もうやだっつってんだろ!別れるの!」
「アサ、昨日のことで迷ってんの?」
「迷ってねー、決意したんだ」
「アサ…戻ってこいって。愛してるから」
「セックスんときの呼び方しても反応しねーし!やめ、」
「うっせ、黙れ」
「やっ…やだっ!彰!」
二度寝から覚醒したとか言ってる場合じゃない。
この隣、タツヤの部屋か。
「朝陽さん!」
勢いで扉開けたら、朝陽さんに馬乗りになってるタツヤと、殴られたっぽい朝陽さん。
「あ、あき…ら」
「そっか、お前がアキラね。昨日お互いに好きじゃないって言ってたけど。 昨日ここ泊まってヤッたワケ? 気持ちいいだろ、朝陽ん中。すっげー絡み付くし」
「っやめろ、オレと彰はそんなんじゃねー」
「でもお前こいつのこと好きなんだろ」
「…っ、タツヤには、関係ねーし」
朝陽さんが真っ赤になって目を逸らした。
知ってる? 目は口より雄弁なの。
「で、テメーは? 昨日、お前が朝陽に惚れたら譲ってやるって言ったけどどうよ」
告白は多少ロマンチックにやりたかったんだけど。
しょうがないか。
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