週刊『彰と朝陽』

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上機嫌─朝陽



 月曜日の夜。

 オレは一人で夜ご飯を食って、風呂も済ませてこたつでくつろいでた。

 やっぱ彰がいねーから背中がさみー。

 ……早く帰ってきてあっためやがれ、バカ彰。

 と思った瞬間、タイミングを測ってたみてーに遠くでドアの開く音が聞こえた。

 ちょっと気恥ずかしくて、オレは慌てて机に伏せて寝たフリを決め込んだ。

 すると、彰の情けねー声が聞こえてきた。


「朝陽さーん、ただいまー」

 声が遠いから、まだ玄関にいるのか?

 とりあえず、彰がオレのこと抱き締めるまで無視だ。


「………………」

「朝陽さーん」

「………………」

「おーい。あ、さ、ひ、さーん」


 うぜー!

 あのバカ、酔っぱらってんのか?

 もし酒くせー彰がヘラヘラしてやがったら、腹筋をタコ殴りしてやる。

 オレは、渋々寝たフリを止めて玄関に向かった。

 そしたら、素面の彰が廊下にでっかい紙袋を二つも置いて靴を脱いでた。


「朝陽さん! ただいま」

「おかえり……。てかそれ、なんだ?」

「紅白まんじゅうだよ」

「は!?」


 二つとも満タンじゃねーか!

 そのうち一つを持ったオレは、ひとまずリビングに戻る。

 ダイニングテーブルにいくつか箱を出してると、遅れて彰もやって来た。


「近況話してるうちにノロケ大会に発展したんだけど、朝陽さんが紅白まんじゅうを欲しがってること話したら、話を聞いてた全員がくれたんだ」

「マジかよ……」

「うん! 朝陽さんのことかわいーって。当たり前のことでも、人から言われたら嬉しーね」


 彰は上機嫌で紅白まんじゅうの箱を出していく。

 その数は、ざっと見て50個はある。

 まんじゅうの数に換算したら100個以上……。

 いくら好きでも、こんなに食えねー。


「朝陽さん、嬉しー?」


 でも、彰がやたら嬉しそーだし……。

 ま、いっか。

 いつかの魔王がくれたレーズンパンと違って、彰も食えるしな。

 とりあえず、考えるのは後回しだ。


「ん。……嬉しーな」

「よかった! 大好き、朝陽さん」

「お、オレも」


 ちょっと酒の匂いがする彰の身体は、外から帰ったばっかなのにあったかかった。


 -END-



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