週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
上機嫌─朝陽
月曜日の夜。
オレは一人で夜ご飯を食って、風呂も済ませてこたつでくつろいでた。
やっぱ彰がいねーから背中がさみー。
……早く帰ってきてあっためやがれ、バカ彰。
と思った瞬間、タイミングを測ってたみてーに遠くでドアの開く音が聞こえた。
ちょっと気恥ずかしくて、オレは慌てて机に伏せて寝たフリを決め込んだ。
すると、彰の情けねー声が聞こえてきた。
「朝陽さーん、ただいまー」
声が遠いから、まだ玄関にいるのか?
とりあえず、彰がオレのこと抱き締めるまで無視だ。
「………………」
「朝陽さーん」
「………………」
「おーい。あ、さ、ひ、さーん」
うぜー!
あのバカ、酔っぱらってんのか?
もし酒くせー彰がヘラヘラしてやがったら、腹筋をタコ殴りしてやる。
オレは、渋々寝たフリを止めて玄関に向かった。
そしたら、素面の彰が廊下にでっかい紙袋を二つも置いて靴を脱いでた。
「朝陽さん! ただいま」
「おかえり……。てかそれ、なんだ?」
「紅白まんじゅうだよ」
「は!?」
二つとも満タンじゃねーか!
そのうち一つを持ったオレは、ひとまずリビングに戻る。
ダイニングテーブルにいくつか箱を出してると、遅れて彰もやって来た。
「近況話してるうちにノロケ大会に発展したんだけど、朝陽さんが紅白まんじゅうを欲しがってること話したら、話を聞いてた全員がくれたんだ」
「マジかよ……」
「うん! 朝陽さんのことかわいーって。当たり前のことでも、人から言われたら嬉しーね」
彰は上機嫌で紅白まんじゅうの箱を出していく。
その数は、ざっと見て50個はある。
まんじゅうの数に換算したら100個以上……。
いくら好きでも、こんなに食えねー。
「朝陽さん、嬉しー?」
でも、彰がやたら嬉しそーだし……。
ま、いっか。
いつかの魔王がくれたレーズンパンと違って、彰も食えるしな。
とりあえず、考えるのは後回しだ。
「ん。……嬉しーな」
「よかった! 大好き、朝陽さん」
「お、オレも」
ちょっと酒の匂いがする彰の身体は、外から帰ったばっかなのにあったかかった。
-END-
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