週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
嫉妬─彰
わかってる。
過去に嫉妬してもしかたないって。
中学ん時は当然、去年も俺と出会う前の出来事だし。
しかも去年はちゃんと避けてくれてる。
でも……でも、ムカムカするんだ。
朝陽さんが俺以外の奴のことを考えるなんて嫌だ。
俺は腕の中の朝陽さんを力一杯抱き締めた。
すると、朝陽さんが軽く身を捩って首だけで振り向いた。
「彰」
「なーに、朝陽さん」
「オレはお前のだから」
「!」
「心配すんな」
「うん……」
「それより彰のが心配だ」
「俺が?」
「ん。彰は女にモテるからな」
は?
それこそ心配する必要、まったくないのに!
もしかして、嫉妬してくれてる?
「アオミドロなんて興味ないから」
「お前に興味がなくても、あっちが興味津々だろ」
「関係ないよ! 俺は朝陽さんしかいらないし」
「……そか」
「てか、朝陽さんを連れていきたいぐらいだよ。だって俺、成人式には紅白まんじゅうをもらうためだけに行くんだし」
「? なんだそれ」
「ホントは朝陽さんと一緒にいたいから、サボるつもりだった」
「マジで言ってんのか?」
「そーだよ」
頷いたら、朝陽さんの顔が一気に赤くなった。
慌てて正面を向いて俯いてしまったけど、耳まで広がった熱は易々と収まらないからバレバレだ。
……なにこれ。
もしかして、気付いてなかったとか?
「そ、んな。お前……バカだろっ」
「どーして?」
「久し振りに会えるダチよりオレとか!」
「俺はいつでも朝陽さんが一番だよ」
「ん……そか」
朝陽さんの耳がますます赤くなった。
煮詰めて真っ赤になったイチゴジャムぐらい、赤くなってる。
俺はそんな可愛すぎる耳に唇を寄せて、食べたいのを我慢しながら囁く。
「てか朝陽さん、さっき嫉妬してくれたんだよね?」
「べ、別にしてねー。彰はどーせ、オレしか、見てねーし……」
「うん、朝陽さんしか見てない。……かわいー朝陽さんだけ」
「可愛くな、っあ」
クリスマスプレゼントのピアスごと舐めてみたら、腕の中の身体が微かに震えた。
「好き。大好きだよ、朝陽さん」
「な、なにいきなり発情してやが……っんぅ」
……いただきます。
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