週刊『彰と朝陽』

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思い出話─朝陽



 中学の時、オレは初めて恋をした。

 相手は同じクラスのダチだ。

 そいつの性別は……もちろん男。

 彰に“会いたくねー奴”のことを訊かれて、オレは昔を思い出しながらちょっとずつ話し進めた。


「そいつ……どんな感じ? かっこよかった?」

「別に運動ができるとか頭がいーとか、イケメンとか、そーいうモテ要素はなかった」

「そっか」

「でも、すげー優しくて、いー奴だった。人気者で」

「………………」

「とは言っても男だろ? オレも男なのに男を好きになるなんて、自分でも受け入れられねーでさ……」

「うん」

「でも誰にも言えねーから、一人で悩んでたんだ」

「朝陽さん……」


 彰が遠慮がちに力を込めて、オレを抱き締めてくる。

 オレはそのあったけー腕にしがみつくよーにして、話を続けた。


「だけどある日、そいつにバレたんだ」

「……告ってないんでしょ?」

「ん。でも、見てるのに気付かれたみてーだ。ガキだからそーいうのわかんねーで、じっと見てたんだと思う」

「そっか。なにか酷いこと言われた……?」

「言われたってか、言ったってか」

「言った?」

「『僕と付き合おう』って言われて、思わず『きめぇ』って言って逃げたんだ」

「え」

「オレ……ビックリして」

「なるほど」


 ちょうどその時期が中二の学期末だったから、すぐにクラス替えで離れてそのままだ。

 てか、オレが避けてたんだけどな。

 あいつは何度もオレに接触しよーとしてたから。

 でもそれで、余計に怖くなったっつーか……。


「成人式に行ったら、会うかもしれねーだろ?」

「確かにね」

「なんか怖いから、会いたくねーんだ」

「またそいつに、しつこく迫られるかもしれないもんね」

「いや、それはねーと思」

「わかんないよ! 朝陽さん、超かわいーから!」

「でも」

「一生! そいつに会ったらダメだからね」

「ん……」


 言われなくても会わねーけど……。

 もしかしてこれ、嫉妬か?



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