週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
思い出話─朝陽
中学の時、オレは初めて恋をした。
相手は同じクラスのダチだ。
そいつの性別は……もちろん男。
彰に“会いたくねー奴”のことを訊かれて、オレは昔を思い出しながらちょっとずつ話し進めた。
「そいつ……どんな感じ? かっこよかった?」
「別に運動ができるとか頭がいーとか、イケメンとか、そーいうモテ要素はなかった」
「そっか」
「でも、すげー優しくて、いー奴だった。人気者で」
「………………」
「とは言っても男だろ? オレも男なのに男を好きになるなんて、自分でも受け入れられねーでさ……」
「うん」
「でも誰にも言えねーから、一人で悩んでたんだ」
「朝陽さん……」
彰が遠慮がちに力を込めて、オレを抱き締めてくる。
オレはそのあったけー腕にしがみつくよーにして、話を続けた。
「だけどある日、そいつにバレたんだ」
「……告ってないんでしょ?」
「ん。でも、見てるのに気付かれたみてーだ。ガキだからそーいうのわかんねーで、じっと見てたんだと思う」
「そっか。なにか酷いこと言われた……?」
「言われたってか、言ったってか」
「言った?」
「『僕と付き合おう』って言われて、思わず『きめぇ』って言って逃げたんだ」
「え」
「オレ……ビックリして」
「なるほど」
ちょうどその時期が中二の学期末だったから、すぐにクラス替えで離れてそのままだ。
てか、オレが避けてたんだけどな。
あいつは何度もオレに接触しよーとしてたから。
でもそれで、余計に怖くなったっつーか……。
「成人式に行ったら、会うかもしれねーだろ?」
「確かにね」
「なんか怖いから、会いたくねーんだ」
「またそいつに、しつこく迫られるかもしれないもんね」
「いや、それはねーと思」
「わかんないよ! 朝陽さん、超かわいーから!」
「でも」
「一生! そいつに会ったらダメだからね」
「ん……」
言われなくても会わねーけど……。
もしかしてこれ、嫉妬か?
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