週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
ずっとこうしたかった─朝陽
「おかえり、朝陽さん!」
「ん。ただいま」
オレが靴を脱ぐなり、すぐ彰が抱き締めてきた。
思った通りの展開だ。
ホントは駅で待ち合わせて一緒に帰ろーかと思ったけど、言わなくてよかった。
もしかしたら、お互い顔見たらこうなるだろーってわかってたのかもな。
彰も思ったはずなのに、言わなかったし。
「彰……」
「朝陽さん、キスしていー?」
「ん。っ、」
返事をすると同時、彰の少し乾いた唇が、噛み付くよーにオレの唇を塞いだ。
その勢いでフラついたオレを廊下の壁に押し付けて、激しく貪ってくる。
どんだけ飢えてんだ、彰の奴……。
荒々しくて、そこから全部喰われそーなキスだ。
「んん、ぅ……ん」
やべー……これ気持ちよくて、オレ……。
まだ荷物持ったままなのに。
靴脱いで廊下に上がったとこなのに。
セックスしたい。
今すぐ彰が欲しい。
「朝陽さん、ベッド行こっか?」
壁と彰に支えられてても、立ってるのが辛くなってきた頃。
唇を一旦離した彰が、オレを抱き抱えるよーにしながら囁いてきた。
「ん……」
「荷物はここに下ろして。後で俺が片付けるから」
「わ、かった」
オレは彰に言われるまま、手に持ってた鞄と、親に持たされた主に食い物の入った紙袋を放す。
紙袋の中身……なんだったっけ。
確かナマモノや冷凍物はなかったから、別にいっか。
彰にコートを脱がされながら袋を覗き込もーとして、諦める。
すると、彰が急に屈んだ。
「朝陽さん、抱っこするよ」
「えっ……!」
「あー、じっとしてよ」
「おまっ、オレ!」
「あはは。かわいーな、朝陽さん」
かわいーな、じゃねーよ!
いきなりお姫様抱っこなんてされて恥ずかしがるオレに、彰はニヤニヤと嬉しそーに笑う。
「降ろせッ」
「うん。もーベッドに降ろすよ」
「っ、」
身体がベッドに降ろされたのはいーけど、すぐに彰が覆い被さってきた。
「ずっとこうしたかった。朝陽さん、俺、朝陽さんが傍にいないとダメだ……」
「……んぅ」
さすが飢えた彰だ。
オレは観念して、暫くは好きにさせてやることに決めた。
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