週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
オマケ 2
◆ ◆ ◆
「……そこで俺が、プレゼントを出したわけ。最高のタイミングで」
「ん。それで、どーなったんだ?」
「ふにゃふにゃした顔で喜んでくれた。これがまた可愛くてさー」
「よかったじゃねーか!」
「でも、すげー鈍感なの。プレゼントの意味をわかってねぇの。そもそも、俺が『クリスマスイブにデートしてください』っつっても、ニコニコしながら『いいよぉ』だぞ?」
ドーム型のケーキをテーブルの真ん中に置いて、男三人、直接フォークで突っつきながらコイバナ。
なんなんだよこれ……!
まぁ大翔が本命と上手くいけば、朝陽さんにちょっかい出すこともなくなるだろーし、相談に乗ってやるのは悪いことじゃない。
でも、今日はクリスマス当日。
わざわざこんな日に邪魔しに来るとか、マジありえねー。
今日は朝陽さんとケーキ食べてイチャイチャして、その流れで……なんて考えてたのに、大翔のせいで計画がパーだ!
タダで食えるケーキも、普段なら嬉しいけど今日は嬉しくねー。
あー甘さ控えめで美味いな、ちくしょう。
「つまり直接告ってはねーけど、アピールはしてんだな」
「そうそう。男同士だから引かれるかもって思って我慢してたけど、やっぱ無理だった」
「あっ、わかる……。全部わかるぞ。引かれるかもって思うのも、我慢できねー気持ちも。オレ、魔王のこと応援してやる!」
「ありがとう朝陽。あの人の全部を知ってて好きなのは、絶対俺だけなんだ。俺が幸せにしたい」
「魔王かっけーな! なんでもオレに相談しろよ!」
「うん……ありがとう。やべぇ。こんな話、誰かにできるとは思わなかった」
大翔は本気で感動してるのか、目頭を押さえて俯いてしまった。
それを見て満足げな朝陽さん。
こんな空気の中、大翔に『朝陽さんと二人になりたいから帰れ』なんて、言えそーにない。
「はあ……」
俺たちには明日も明後日も、来年もある。
あるけど……。
今日という日は今日しかないんだよ、朝陽さん!
「彰っ」
「なーに、朝陽さん」
「彰も一緒に、魔王の相談に乗ってくれるよな?」
「……うん。朝陽さんのためなら喜んで」
「サンキュ!」
朝陽さんが俺の返事に、満面の笑みを浮かべた。
ホントにうれしそーだ。
可愛すぎてやべぇ。
「オレたちで魔王が本命と付き合えるよーにしよーな!」
「そうだね」
でも……まーいっか。
朝陽さんの笑顔が俺の傍にあるんだから。
-END-
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