週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
お揃いのパジャマ─彰
「ん……」
いつもの朝の光を感じて、俺の意識が浮上した。
目を瞑ったままで隣をまさぐる。
そこには誰もいないけど、ほんのりと残る愛しい匂いと温もりがあった。
朝陽さんはどこだろ。
太陽の光でも浴びてるのかな。
あ、今日は日曜だから、朝飯を作ってくれてる可能性もあるな。
昨日、朝陽さんにすごいデレをもらった俺は、夢見心地のまま帰ってきた。
あの台詞で爆発したよーに赤面してしまった朝陽さんと一緒に、混乱しながら風呂に入ってそのまま就寝。
なんか色気のないクリスマスイブだった気もするけど、俺たちには今日も明日も来年も、ずっとあるから構わない。
てかあのデレ朝陽さん……超可愛かったなー!
あー、幸せだ!
今すぐ朝陽さんを抱き締めたい!
俺は布団を跳ね除けて起き上がった。
すると背後から、何かが落ちた音がした。
「? なんだこれ」
茶色い紙袋。こんなのあったっけ?
疑問に思いながらも中を確かめると……。
「朝陽さーん!」
俺は朝陽さんがいるだろうキッチンに、全速力で駆け込んだ。
下の人ごめんなさい。
「なんだ、朝っぱらからうるせーぞ」
「これ、これっ」
「落ち着けよ」
「プレゼント!」
「サンタでも来たか?」
「うん!」
紙袋の中身はプレゼントの包みだった。
一緒に入ってたカードに『彰へ』って書いてあったから開けたら、二着のパジャマが入ってた。
同じデザインで同じ色だけど、サイズが違うパジャマ。
朝陽さんって名前のサンタさんからのプレゼントだ。
「よかったな」
「今日一回洗濯するから、さっそく一緒に着よーよ」
「わかった」
俺の提案に、ベーコンを炒めながら満足げに頷く朝陽さん。
その右耳朶には、俺が昨日あげたピアスがある。
「プレゼント、開けてくれたんだね」
「ん。……サンキュ、すげー嬉しかった」
「よかった。朝陽さんによく似合ってるよ」
「お前が選んだんだから当たり前だ。彰の分は洗面所にあるからな」
「うん。ちょっと行ってくるね」
「おう」
実は俺が朝陽さんにあげたのも、お揃い。
と言っても、正確には一組の小さなピアスだけど。
「あ、忘れ物」
「? ……っんぅ」
「おはよう、朝陽さん」
「……おは」
今日はクリスマス。
あとで、一緒にクリスマスケーキ買いに行こうって誘ったら、喜ぶかな。
-END-
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