週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
夜景の見えるレストラン─彰
「お待たせしました。ハンバーグステーキセットになります」
「どーも」
鉄板の上でジュージュー音立ててるハンバーグが、朝陽さんの前に置かれた。
「ご注文の品は、以上でお揃いですか?」
「ん」
「では、ごゆっくりどうぞ」
「よし! 食うぞ彰!」
朝陽さんはさっそく嬉しそーに、ハンバーグに乗った目玉焼きへナイフを入れる。
俺はそんな朝陽さんに目を奪われながら、自分のカレーライスにスプーンを差し入れた。
「朝陽さん、美味し?」
「ん。美味ぇ!」
「今度ハンバーグ作ろうかな」
「家で彰が捏ねるのか?」
「うん、そーだよ」
「オレもやる! でっけーの作りてー」
「フライパンいっぱいにして、わけて食べるのもいーね」
「そーだな! フライパンのまま食えば洗い物も減るしな」
「ホントだ。頭いーね!」
「ん。オレだからな」
やべぇ、幸せ……。
朝陽さんとクリスマスイブに外で飯食って、家でのことを話す。
これからも朝陽さんは俺といてくれるんだって思えて、幸せ。
ホントは、綺麗な夜景が見えるレストランを予約してたんだ。
朝陽さんに内緒でこっそり。
でもいろいろあって、やむ無くキャンセルして……。
そのせいで落ち込んでる俺に、朝陽さんが言ったんだ。
『イブの夜、バイト先の駅まで迎えに行くから、ご飯食いに行こーぜ』
って。
だから俺は、予約していたレストランをキャンセルしたことを打ち明けた。
そーしたら朝陽さん、なんでもない顔で……。
『ファミレスも立派な“夜景が見えるレストラン”だろ?』
なんて言ってくれた。
こんな恋人、なかなかいないよね。
もー朝陽さん……超大好き。
「彰のカレーも美味いか?」
「うん。食べてもいーよ」
「サンキュ。彰もオレのハンバーグ食えよ」
「ありがと」
外に見える、電飾された街路樹が綺麗。
朝陽さんとなら、ファミレスも予約必須のレストランも同じだ。
幸せなことには変わりない。
「美味いだろ」
「半熟の黄身が絡んでヤバいね」
「ん。カレーも美味ぇ」
「あっ。口元に米が付いてるよ、朝陽さん」
「……?」
「違う、反対側」
「こっち……あった!」
かわいーな。
ここが家だったら、キスで取ってあげたのに。
来年はちゃんとバイトを休めるよーにして、朝から出掛けて夜は家で食うってのがいーかも。
食べながら、朝陽さんとイチャイチャしたいし。
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