週刊『彰と朝陽』

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だって好きだから─朝陽



 彰が、すげー怖い顔でオレにくっついてる女を睨み付けてる。

 無駄にイイ顔だし、背も高いから威圧感が半端ねー。

 てかやべーな!

 こんな彰、見たことねーんだけど。


「おい……どーいうつもりだ、てめぇ」


 これ、女を相手にした台詞なんだぞ?

 いつもの情けねー彰は、影も形もねー!


「離れろ。汚ねぇ手で俺の朝陽さんに触るんじゃねーよ」

「ご……ゴメン、なさ……」


 女は震えながらオレの腕を解放して、ちょっと横に動いた。

 すると彰はすかさず動いて、オレを自らの背後に隠すよーに立つ。

 オレは野獣に襲われた姫かって感じの扱いだ。

 てか……すげー注目されてんだけど。

 とりあえずここから離れたくて、オレは未だに女を睨み付ける彰の袖を引いた。


「彰っ、もー行くぞ」

「え、あ、朝陽さん待って!」


 一人で踵を返して駅に入ると、慌てて彰が追いかけてくる。

 ったく……助けてくれたのは嬉しーけど、男が女から男を助けて庇うって、かなり目立ってたぞ。

 しかもここはバイト先の最寄り駅なのに。


「朝陽さーん!」

「うるせー。とにかく電車に乗るぞ」


 さっきのかっけー彰はどこだって詰め寄りたくなるぐらい、情けねー顔の彰がオレに追い付いた。

 そこで、ちょうど入ってきた電車に乗り込む。

 つり革に掴まって落ち着いたら、彰が耳元で囁いてきた。


「朝陽さん、大丈夫? 変なことされなかった?」

「あ……うん。腕に抱き付かれただけだ」

「よかった……。朝陽さんが襲われてるのを見た時、マジで血の気が引いたよ」

「大袈裟だろ。逆ナンされただけだ」

「大袈裟じゃないよ! もう、朝陽さんは無自覚だよね」

「オレは男だぞ。心配しすぎだ」

「当たり前だよ! だって、朝陽さんのこと好きだから……」

「っ、バッカお前、こんなとこで言うな!」


 オレは彰の硬い腹筋を、力一杯殴ってやった。

 厚着してるから、別にいーんだ!

 苦しそーに呻いてる彰は、無視だ!



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