週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
一緒にいるだけで─朝陽
魔王は、すげー美味くて柔らけー肉を食わせてくれた。
デザートにプリンもあったしサイコーだ!
今日みてーな魔王ならいつでも歓迎してやるって言ったら、ニヤニヤして喜んでた。
その魔王が帰った途端、彰がオレに手招きした。
今から洗い物でもしよーと思ってたのに。
「朝陽さん、ここにおいで」
「座椅子か!?」
「うん。こたつでしたら、すげぇ気持ちいーよ、きっと」
「でも彰はまだ怪我が」
「大丈夫。膝は立てないから」
「ん……」
「朝陽さんにくっつきたいんだ。お願い」
膝を立てねーなら足に負担はかからねーし、いーかな。
実はオレも彰にくっつきたかったから、すげー嬉しー。
そー思いながらこたつと彰の間に入って腰を下ろしたら、彰が後ろから腹に腕を回してきた。
すると、布団と彰に包み込まれてる感じになる。
「あったかい?」
「ん。身体全部あったけー!」
「こーやってテレビ見たら、気持ちよさそーだね」
「そーだな! やっぱ冬はこたつだ。魔王サンタのおかげだな!」
「……そのことなんだけど」
「なんだ?」
「こたつ……やっぱり返す」
「は? なに言ってんだお前」
「だって大翔が朝陽さんのサンタなんて嫌だし。俺が買い直してサンタになる」
大バカかこいつは。
どーせオレが喜んでたからとかで、魔王に嫉妬してるんだろーけど。
しかたねー奴だな。
「彰はオレのなんだ」
「……恋人?」
「ん。恋人は、一緒にいるだけで嬉しーもんなんだぞ。でも彰はそれ辞めて、プレゼント持ってくるだけのジジイになりてーんだな」
「……違う、辞めたりしない! ごめん、朝陽さん」
大バカが余ってる力を総動員させて、ぎゅーぎゅー抱き締めてきた。
ちょっと苦しーけど、何故か心地よく感じる。
さっきの台詞が恥ずかしくなってきたオレは、そんな彰の太股を軽く殴ってやった。
「まぁ彰はバカだから、サンタ適性検査に合格できねーけどな!」
「そんなのあるの?」
「当たり前だろ。確か今年の倍率は二万五千倍だ」
「マジで! それは難しーね」
「だ、だから……彰はおとなしくオレと一緒にいろ」
「うん。大好き朝陽さん」
「ん」
頭だけ動かしてキスしてやったら、彰がすかさず舌を入れてきた。
セックスは片付けてからにしよーと思ってたのに。
「ん……ごめん朝陽さん。我慢できない」
……今は冬だし、片付けは明日の朝でもいっか。
-END-
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