週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
お見舞い─彰
大翔の奴、ホントにこたつを買ってきやがった。
しかも、夜飯の材料やプリンまで買ってきた。
なんか今すぐにでも氷の刃とか降ってきそーなんだけど……。
俺は今、ダイニングの椅子に座って、いそいそとこたつを開封してる大翔を観察中だ。
テーブルとソファは空いてる部屋に移したから、リビングがすげぇ広く見える。
「下敷き、こんなもん?」
「ちょっとテレビに近くね?」
「じゃあ動かすから止めろよ」
「…………ストップ。そんなもんかな」
「可愛いだろこれ」
「うん。なんでドット柄なわけ?」
「朝陽が可愛いから?」
「それには同意するけど、全然理由になってねぇな」
「細かいことは気にするな」
「まぁありがたいから、なんでもいーけど」
あとは丸い机と、下敷きの柄とお揃いのあったかそーな布団をセッティングすれば終わり。
位置さえ決まれば簡単なもので、大翔はすぐにこたつリビングを完成させてくれた。
「よし。これで朝陽は俺に惚れるな」
「ねーよ」
「こたつ、朝陽が欲しがってたんだろ?」
「うん」
「だったら……」
「ねーっての! 朝陽さんは俺のだ」
「ははっ! 可愛くなったよな、お前」
「うざ」
兄貴面しやがって。
……兄貴なんだけどさ。
歳が離れてるから、余計にガキ扱いしてくるんだよな。
だから中学の時にムカついて呼び捨てで呼び始めた時も、なんか余裕で笑ってたし。
「プリン食う?」
「朝陽さんと食う」
「そっか。じゃ、飯でも作ってやるか」
「なんか大翔が優しすぎて怖いんだけど」
「こたつは彰と朝陽にクリプレ。プリンは普通に見舞い。飯はがんばってる朝陽を労うため」
「……なるほど。ありがとう」
「これで一回ぐらい朝陽とデ」
「断る」
……いー兄貴だと一瞬思いかけたけど、止めた。
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