週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
行ってきます─朝陽
彰が捻挫してから五日。
身の回りの世話をしてやるのも、だんだん慣れてきた。
医者に『一週間は安静にしてろ』って言われたから、毎日いろいろしてやってるんだ。
今も朝ご飯を食わせて、着替えさせて、顔を拭いてやったとこ。
彰は毎回『やりすぎ』って言うけど、無視だ。
安静ってことは、極力動かねーに限るんだろ?
「トイレ以外、あんまり動くんじゃねーぞ」
「うん」
「お昼ご飯はそこのテーブルのお盆に全部あるからな。飲み物もここに……」
「ありがとう」
「洗い物は全部オレがやるから、ここに放置してろ。勝手に運んだり洗ったりしたら、承知しねーからな」
「わかった……」
「よし」
今からバイトなんだけど、彰を一人にするのは心配だ。
ホントは嫌だけど、今日はどーしても朝から入ってくれって言われたんだ。
まだ昼からなら、お昼ご飯を食わせてから行って、夜ご飯の時間より前に帰ってこられるのに。
オレはソファに座った彰の髪を撫でて、躊躇いながらも立った。
……でも、やっぱ心配だ!
「あきらっ」
「大丈夫だよ」
「ホントか? 痛くないか?」
「うん。朝陽さんがいろいろしてくれるから、ホントにだいぶマシになった」
「そか」
「ちゃんと安静にしてるね」
「当たり前だ!」
「だから、そんなに心配しないで」
「ん……」
「朝陽さん大好き」
「……お、オレも」
見上げてくる彰にキスしてやったら、すぐに舌が入ってきた。
「ん……ぅ、んん」
身体を動かせないストレスからか、オレの口の中でやたら元気に動き回る。
バイトに行かないとならねーのに、セックスしたくなったらどーすんだ。
「……ごめん、朝陽さん」
「バカ」
「う……」
「今夜はセックスするぞ」
「! 喜んで!」
「じゃ、行ってくる!」
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
「ん」
オレは最後にもう一回キスをして、バイトに出掛けた。
←Series Top
|