週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
落ち込む姿もまた可愛い─彰
とりあえず、あのまま玄関で座ってても寒いだけだから、俺は朝陽さんに肩を借りてリビングに移動した。
朝陽さんは積極的に動き回って、俺の足が楽になるよーにクッションを置いてくれたり、片付けをしたりしてくれる。
氷がないから、入れっぱなしだった氷枕を駆使して冷やす環境も整えてくれた。
というわけで、ソファに乗せた左足はまさにVIP待遇と言ったところ。
朝陽さんは、ホントに自分のせいだと思ってるみたいだ。
どーしたらわかってくれるかな……。
「彰、救急車呼ぶか?」
「いやいや、軽い捻挫だから大丈夫」
「でも……」
「じゃあ大翔にシップ持ってきてもらうよ。ついでに軽く診てもらう」
「魔王みたいな、一介の皮膚科医は信用ならねー!」
「一介の皮膚科医でも、緊急事態かどうかは判断できるよ。明日はちゃんと、朝から病院に行くからね」
「ん……」
朝陽さんは、不服そうに下唇を突き出して考え込みだした。
また泣いちゃいそうになってるし……。
どれだけ心配してくれてんだろ。
誤解で責任感じて落ち込んでるんだってわかってるけど、うれしー。
すげーかわいーってか、愛しいんだよね。
俺は朝陽さんの髪に指を差し入れて、暫く梳きながら後頭部に手を移動させて軽く力を込めた。
素直に、でも遠慮がちに俺の肩に頭を預けてくる朝陽さん。
シャンプーの匂いがふわっと鼻をくすぐると、ドキッと心臓が跳ねる。
は、鼻血が出そーでヤバい……!
耐えろ俺、今はシリアスなシーンなんだから!
俺は鼻の奥に力を込めて、なんとか平静を装った。
「朝陽さん」
「……わかった。明日は絶対だぞ。オレが連れてくからな!」
「うん。朝陽さんが付き添ってくれるなんて、うれしーな」
「当たり前だ……っ」
朝陽さんは、そっと俺に抱き付いてきた。
あくまで俺の身体を気遣うって感じで、体重を掛けないよーにしてる。
なにこれ……。
なんでこんなにかわいーんだよ!
いつまでも落ち込ませてるの嫌なのに!
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