週刊『彰と朝陽』

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○△□×が出たあああああ!─朝陽



 オレたちの前にいた女が、ガラガラとうるせー音を鳴らしながら、ハンドルを回す。

 木でできた八角形のアレが重そーに回って出てきたのは……。


「おめでとうございます! 一等、レストランお食事券一万円分です!」


 カランカランとけたたましく鐘が鳴って、大当たりを告げた。

 出てる玉は確かに一等の銀色だ!

 すげー!

 当たった女は嬉しそーにニヤニヤしながら、目録を受け取って帰ってった。


「あ、朝陽さんっ」

「すごかったな。一等って当たるもんなんだな」

「どーしよう。当たりの後は絶対スカだ……。俺には無理なんだ」

「気を張らずにやれよ。スカでもスーパーの百円引きクーポンだからな」

「うん……」


 彰は頼りねー返事をして、恐る恐るって感じで回しだす。

 ガラ……ガラ……ってやる気のねー音だ。

 なかなか玉が出てこねーし、なんかイライラしてきた。


「おい、一気にやれ! そーっとやったらスカが出るぞ」

「え」


 とうとう我慢できねーで注意してやったら、彰が手を止めて振り返りやがった。

 その瞬間、ポロリと穴から転げ落ちる玉。

 よく見えなかったけど、色がついてたよーな……。


「おめでとうございます!」

「!」


 まぬけ面でこっちを見てる彰を押し退けて玉の色を見よーとしたら、その前にさっきの鐘が鳴り響いた。


「二等、遊園地券五千円分です!」

「え!?」

「に、にとー?」

「はい! おめでとうございます。詳しくは中のチラシをご覧くださいね!」


 呆然とする彰に“目録”の封筒を押し付ける店員。

 彰は相変わらずまぬけ面のままでそれを受け取ると、フラフラと傍らに移動した。


「さっ! もう一回ありますからどうぞ!」

「あ、ああ……」


 店員に急かされてハンドルを回すオレ。

 二連続で一等と二等を出されたら、さすがに当たる気がしねー。

 案の定、出てきたのはスカの白い玉で、オレはスーパーで使える百円引きクーポンをもらった。



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