週刊『彰と朝陽』

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ジャンケンポン─彰



 朝陽さんが俺の腹……腹筋の硬いとこをグーで殴ってきた。

 どうも、いちゃいちゃしすぎたらしい。

 俺は周りの視線なんか気にしないのに、朝陽さんは気になるみたいだ。

 恥ずかしがりやさんだからな、朝陽さんは……。

 やべ、可愛すぎる。

 さっさと図書カード当てて帰って、抱き締めたりキスしたりしたい。

 さっき買ったチョコ食いながら、堂々といちゃいちゃしたい……。

 あぁ朝陽さん、好きだ。

 大好き……!

 熱のこもった視線を愛しい後頭部に向けると、それに反応したかのように朝陽さんが振り返った。


「あと五人だぞ」

「そーだね。図書カード当たったらなに買うの?」

「決めてねー。道路地図でも買うか」

「二人でドライブするために?」

「ん。オレ、カーナビは好きじゃねーんだよな。時間がねー奴にはいーかもしれねーけど、地図見ながら迷ったりして、そこで思わぬ発見とかある方が楽しーだろ」

「うんうん。さすが朝陽さんはセンスがいーよね。旅行のこともだけど」

「そーか? 泊まろーとしたらダメで、味気ねービジホとかになるかもしれねーぞ」

「それも思い出だよ。旅行会社の型にはめられたまま行くより、絶対楽しい!」

「あれはな。確実だけど、まんまそれだけでつまんねーっつーか」

「俺、朝陽さんの話聞いたとき、目から鱗が落ちたよ」

「そか。なら敬えよ」

「うん」


 大好き。

 ここで言ったら怒られるから、俺は心の中で呟きながら視線に気持ちを乗せた。

 もー好きすぎて、どーにかなってしまいそー。

 ああ、俺だけの朝陽さん……。


「よし、彰。じゃんけんするぞ」

「え」

「最初は」

「グー」

「じゃんけん……」

「ぽん!」


 いきなりで訳がわからないうちに、俺はチョキを出した。

 なんで俺はじゃんけんしてんの?

 てか負けたんだけど。


「オレが勝ったから彰が先な」

「な、なにが?」

「ガラガラ。先にやれ」

「あっ、なるほど……てか、朝陽さんは後がよかったんだ?」

「ん。彰が当てたら、オレの気が楽になるからな」

「えー! すげぇプレッシャーじゃん」

「だから、じゃんけんで負けたお前が先なんだろ」


 さすが朝陽さん、抜かりないな。

 てか、それならそうと先に言ってほしかったな。

 次なんだけど、俺。



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