週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
ジャンケンポン─彰
朝陽さんが俺の腹……腹筋の硬いとこをグーで殴ってきた。
どうも、いちゃいちゃしすぎたらしい。
俺は周りの視線なんか気にしないのに、朝陽さんは気になるみたいだ。
恥ずかしがりやさんだからな、朝陽さんは……。
やべ、可愛すぎる。
さっさと図書カード当てて帰って、抱き締めたりキスしたりしたい。
さっき買ったチョコ食いながら、堂々といちゃいちゃしたい……。
あぁ朝陽さん、好きだ。
大好き……!
熱のこもった視線を愛しい後頭部に向けると、それに反応したかのように朝陽さんが振り返った。
「あと五人だぞ」
「そーだね。図書カード当たったらなに買うの?」
「決めてねー。道路地図でも買うか」
「二人でドライブするために?」
「ん。オレ、カーナビは好きじゃねーんだよな。時間がねー奴にはいーかもしれねーけど、地図見ながら迷ったりして、そこで思わぬ発見とかある方が楽しーだろ」
「うんうん。さすが朝陽さんはセンスがいーよね。旅行のこともだけど」
「そーか? 泊まろーとしたらダメで、味気ねービジホとかになるかもしれねーぞ」
「それも思い出だよ。旅行会社の型にはめられたまま行くより、絶対楽しい!」
「あれはな。確実だけど、まんまそれだけでつまんねーっつーか」
「俺、朝陽さんの話聞いたとき、目から鱗が落ちたよ」
「そか。なら敬えよ」
「うん」
大好き。
ここで言ったら怒られるから、俺は心の中で呟きながら視線に気持ちを乗せた。
もー好きすぎて、どーにかなってしまいそー。
ああ、俺だけの朝陽さん……。
「よし、彰。じゃんけんするぞ」
「え」
「最初は」
「グー」
「じゃんけん……」
「ぽん!」
いきなりで訳がわからないうちに、俺はチョキを出した。
なんで俺はじゃんけんしてんの?
てか負けたんだけど。
「オレが勝ったから彰が先な」
「な、なにが?」
「ガラガラ。先にやれ」
「あっ、なるほど……てか、朝陽さんは後がよかったんだ?」
「ん。彰が当てたら、オレの気が楽になるからな」
「えー! すげぇプレッシャーじゃん」
「だから、じゃんけんで負けたお前が先なんだろ」
さすが朝陽さん、抜かりないな。
てか、それならそうと先に言ってほしかったな。
次なんだけど、俺。
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