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ご主人様と俺(side 彰)

□ピザって高い


「今日泊まってけよ」


 朝陽さんがガーゼとか片付けながら言い出した。


「悪いよ」

「それじゃ外歩くの恥ずかしいだろ。いーから泊まれ」

「…わかった、朝陽さんのこと襲わないように我慢する」

「っ、おま、襲うッて」


 あれ、朝陽さん真っ赤だ。


「朝陽さんかわいーから理性もつか心配でさ」

「ば、バッカじゃねぇの、お前!」


 マジで真っ赤だ。なんかあったのか?


「朝陽さん真っ赤。熱出てきた?」


 朝陽さんの狭い額に触れる。


「あ…っバカ」

「バカバカ言わないでーマジでバカになりそ」

「お前バカだからしかたねー」


 熱はないみたいで安心した。

 けど、ホントどうしたんだろう。


「貧血、どう?」

「だいぶマシ」

「そう、また肉食いにいこーね」

「うん」

「バイトも一緒にしよーね」

「二人いっぺんに受かったらな」


 膝抱えて真っ赤な顔隠す朝陽さんにいたたまれない感じになる。

 俺が真っ赤にさせたみたいだし。

 で、意味もなく将来の約束。

 …肉もバイトも立派な将来の約束だし。

 俺、有言実行な男なんで。


「あ、写真…。明日も無理か」

「全治どんくらい?」

「わかんね、ごめん朝陽さん」

「しかたねー、オレ優しいから待ってやる」

「うわ、朝陽さん素敵。惚れちゃう」


 な、なんで。なんでここで耳まで真っ赤になんのこの人!

 いつもならノリで返して笑って、そろそろ腹減ったからなんか作ってーとか、やるんじゃないの?

 こんなの朝陽さんが俺を好きみたいじゃん。


「あの、朝陽…さん」

「は、腹!」

「わっ」

「腹、減ったかも。ピザ食いたい」


 いきなり顔上げるからビビった。


「ん、朝陽さんどれがいい?」


 ピザ、ケータイで開いてメニュー呼び出す。

 にじりよってくる朝陽さんがやけに可愛く見える。


「あ、うまそ。きゅうり入ってなきゃなんでもいーかも」

「あい、了解」


 きゅうり入ったピザってあんの?

 とりあえず適当にダントツ人気らしいクワトロとシーザーサラダとポテト頼んでみた。

 てか、ピザって高いよな。


「ジュースとかアイスどうする?」

「オレがコンビニ行ってくる」

「悪いね、ご主人様」

「怪我人はじっとしてやがれ」

「やさしー、大好き朝陽さん」

「っ…、よ、よせよ、て、照れるじゃねーか…」


 これも禁句? じゃ、愛してるとか言えないな。



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