週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
愛してる─朝陽
タツヤにベルトを外された瞬間、オレは大泣きしてしまった。
彰じゃねーと嫌だって、ガキが駄々捏ねるみてーに。
キスを受け入れたくせに急に拒んだりして、サイテーだと思う。
でもタツヤはオレを許してくれた上、相談にも乗ってくれた。
彰に素直になれねー理由を訊いたら、タツヤは『好きな奴から愛情受けてビビってんだろ』って指摘してきた。
確かにオレは、相手をずっと追っ掛けてばっかだった。
好きになる奴は全員ノンケだったから、片想いのまま諦めるか、付き合えても女と浮気されるってオチ。
背中追っ掛けて、すがって、たまに振り向いてもらえたらそれだけで幸せで。
男しか好きになれねーから、それが当たり前だった。
でも彰は最初からずっと、惜し気もなくオレに愛情を注いでくる。
言葉にも行動にも表してくるから、すげー恥ずかしーんだ。
今もオレのこと抱き締めながら、やたら囁いてくるし。
「朝陽さん、好き。大好き」
「ん……」
「俺のだからね、朝陽さんは」
「あきら、の」
「そーだよ。ずっと俺の」
うれしーけど今は素直に受け入れられない。
オレ、タツヤにキスさせたから。
彰を裏切ってしまったから、ちゃんと話して謝らねーと……。
「彰。あの、オレ。タツヤに」
「あぁ、わかってるから忘れて」
「え……」
「お礼ならしといたからいーよ。だから忘れて。ってか忘れろ」
「う……ん。わかった」
「朝陽さんは俺としかキスしないでしょ?」
「ん。彰にしか、しねー」
「それでいーよ」
彰は笑って、軽くキスをしてきた。
ホントにいーのか……?
てかオレ、本気で素直になるために、これからがんばるって決めたんだった。
その第一歩として、今から彰に告白しよーと思う。
「彰」
「なーに、朝陽さん」
で、呼んだはいーけどどーしよ。
なんて言ったらいー?
好き。大好き。……愛してる。
ん、やっぱ最後のやつか?
「あ」
「?」
「あい、あい……」
「おサルさん?」
「ばっ……ちげーよ!」
「ご、ごめん」
「何がおサルさんだ! バカ! 愛してるっつってんだ!」
「……!」
「あっ!」
「朝陽さん! 俺も超愛してる!」
彰がすげー勢いで抱き付いてきた。
オレはもっと厳かに言いたかったのに……。
全部彰のせいだ!
「朝陽さん、もー離さないから」
「当たり前だ!」
「うん、好き。朝陽さんは?」
「うるせー自分で考えろ」
「え、さっきみたいに言ってよ」
「また今度な」
「ひでぇ」
素直になれるのはまだ先だけど、この気持ちは、もー揺るがねーから。
ずっと愛してる。
オレは気持ちを込めて、彰にキスをした。
-END-
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