週刊『彰と朝陽』

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泣かない方法教えてあげる─朝陽



 彰は昨日、オレと喧嘩したから拗ねてヤケ酒をした。

 何も食わねーで、浴びるよーに片っ端から酒を呑んだらソッコーで眠くなって、次に気付いたら朝。

 ダチと終電逃した女三人が、彰をダチの家に運んでくれた…………らしー。

 彰が寝起きのオレをぎゅーぎゅー抱き締めながら、息継ぎをほとんどしねーで昨日のことを説明してきた。

 すげー作り話くせー内容だけど、何故かすんなり信じられた。

 たぶんオレが彰を信じてーって気持ちだからだ。


「てか……激しいのにすぐへばるって、なんだったんだ?」

「え?」

「女が電話で言ってた」

「なにそれ……」

「もしかして、酒の飲み方のことか」


 女の話と彰の話を照らし合わせたら、被りそーな事象がそれしかねーんだよな。

 どー考えてもセックスの話っぽいけど。


「……たぶん」

「たぶんってなんだ」

「俺……女に電話の内容は聞いてないと思う」

「思うってなんだ!」

「朝っていうか、起きてから今までのことはほとんど覚えてないんだ。いろいろ気付いてすぐに朝陽さんを探しに出たから」

「そか」

「マンションとか大学とか走り回った。ダチにも探せって頼んで……」

「二日酔いなのに必死だな」

「うん。俺、朝陽さんがいなくなったら生きていけないから」

「………………」


 大袈裟な奴だな。

 オレの方こそ、もし彰が帰ってこなかったらって考えてたのに。


「朝陽さん……?」

「っなん、だ」

「泣かないで。朝陽さん」

「うるっせー」

「うん、ごめんね。でも、もー泣かせたくない」

「じゃ、一つしかねーけど、オレが泣かない方法、教えてやる」

「なに? なんでもする」

「彰が……ずっとオレの傍にいるなら、もー泣かねー」

「……もちろん喜んで。ずっと、何十年でも傍にいるよ。てか朝陽さん、キスしていー?」

「……っ、んぅ」


 彰がしてくれたキスは、なんだか久し振りな感じがした。

 しかもタツヤにされた時と違って、すげー幸せで気持ちよくて。

 彰が好きだから、こーなるんだ。

 オレは、まるで初めてキスをした時みてーにドキドキしながら、彰の舌にぎこちなく応えた。



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