週刊『彰と朝陽』

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あの人からのメール─彰



 朝陽さんのケータイにいくら電話しても、電源が落ちてて繋がらない。

 メールを腐るほど送ってしまったけど、もちろん返信はナシ。

 マンションに帰ってもいなかったし、大学に来ても見付からなかった。

 こーなったら形振り構ってられなくて、俺は信頼できるダチ数人に適当な理由を付けて『ついででいいからこの人を探してほしい』と朝陽さんの画像付きメールを出した。

 朝陽さん、どこにいるの……。

 無意識に来てしまってた想い出の場所で、俺はとりあえず疲れた身体を休めることにした。


「……はぁ」


 芝生に寝転がってみても、気持ちが落ち着かないからか休まらない。

 昨日の酒がまだ残ってるせいで、頭が痛くて気分が悪いし。

 朝陽さんがいたら、それだけで元気になれるんだけどな。

 でもダチからたまに入るメールは、全部『見付からないし、見掛けた人もいない』って内容ばっかり。

 これだけ人がいんのに、一人も朝陽さんを見た奴がいないってのか!?

 ふざけんなよ……!

 自分でも大学内の聞き込みを始めよーと立ち上がったら、サクサクと芝生を踏む足音が聞こえてきた。


「あ、須磨、いた!」

「あぁ!?」

「ひぃっ……」


 苗字呼びの時点で朝陽さんじゃねーってわかって、イライラしてつい凄んだら、スズキマサオミが小刻みに震えてた。


「なんだお前。俺は今忙しーんだけど」

「で、でも朝陽のことで……」

「……朝陽さんの!? 言え、吐け、早く!」

「っく、くるし……」

「死ぬ前に吐け!」

「あさ……ひ、が、タツヤ、と」


 タツヤだと?

 朝陽さんが……あの最低野郎といた?

 ショックを受けて呆然としてたら、唐突にケータイが震えた。

 掴んでたスズキマサオミの胸ぐらを放してケータイを開く。

 地面からカエルが潰れたよーな音がしたけどシカトだ。


「なんだ橋田」

『彰、今転送したメール見た?』

「メール? 見てねーけど」

『いいから見ろ。今すぐだ!』


 ブツッと電話が切れて、俺は意味がわかんねーままメールを開いた。


「……朝陽さん!」


 その文面を見た瞬間、俺は走り出した。

 橋田から来てた転送メールが、タツヤから“俺に宛てた”メールだったから。

 しかも『朝陽を預かってる』って内容で。



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