週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
連れてって─朝陽
泣き疲れて寝てしまったのか、起きたら朝だった。
オレとしたことが、いつもの時間に起きられなかったなんて……。
夜中の電話、やっぱショックだったんだな。
全部の部屋を探しても彰がいねーことに落胆しながら、オレはとりあえず講義に出るために家を出た。
朝ご飯を食わなかったから腹が減ってるけど、食う気にならねーから腹をグーグー鳴らしながら歩く。
髪型も服装もテキトーだし、目蓋は腫れてるし、腹の音ぐらい恥ずかしくねー。
こーいう時、彰と同じ学部じゃなくてよかったと思う。
今日はどーすんだろ……彰、帰ってくんのかな。
もし電話に出た女といて、ずっと帰ってこなかったらどーしよう。
魔王に相談しよーかな……。
「朝陽?」
「え?」
ロクに前も見ねーで駅から大学までの道を歩いてたら、前から聞き覚えのある声がオレを呼んだ。
「……タツヤ」
「久しぶりだな。元気……には見えねーけど」
「ん……」
「どーしたんだ、須磨は」
「今はいねーよ」
「いつも一緒だろ、お前ら。ナニ、もしかして別れたわけ?」
「ま、まだ別れてねーよ!」
「まだ? 時間の問題ってやつか? なら俺のとこに戻ってこいよ。もう浮気しねーし、大事にする」
「………………」
そーいやオレ、タツヤに浮気されても必死にしがみついてたな。
結局依存してたってやつなんだけど、タツヤが浮気してても何故か好きだって思い込んでた。
彰と出逢って、タツヤへの気持ちはなんか違うって気付いて……彰を好きになった。
彰、タツヤは浮気しまくっててオレを大事にしてねーって怒ったよな。
寂しがらせんなって、言ってくれたよな。
……じゃあアレはなんなんだ。
オレ、もーわかんねー。
「半年」
「?」
「お前がいなくなって半年。すげーつまんなかった。朝陽のコト、ホントに好きだったって気付いた」
「そか……」
「ヨリ戻そうぜ。とりあえず……朝陽の腹鳴ってるし、家で飯食う?」
なぁ、彰……。
どーしたらいー?
オレ……バカだから、辛い時に優しくされんのに弱いんだけど。
「朝陽。どうする? 俺と来る?」
「ん……連れてって」
「よし、じゃあ来いよ」
ごめん彰。
オレ、お前のこと忘れたい。
-To be continued……-
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