週刊『彰と朝陽』

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連れてって─朝陽



 泣き疲れて寝てしまったのか、起きたら朝だった。

 オレとしたことが、いつもの時間に起きられなかったなんて……。

 夜中の電話、やっぱショックだったんだな。

 全部の部屋を探しても彰がいねーことに落胆しながら、オレはとりあえず講義に出るために家を出た。

 朝ご飯を食わなかったから腹が減ってるけど、食う気にならねーから腹をグーグー鳴らしながら歩く。

 髪型も服装もテキトーだし、目蓋は腫れてるし、腹の音ぐらい恥ずかしくねー。

 こーいう時、彰と同じ学部じゃなくてよかったと思う。

 今日はどーすんだろ……彰、帰ってくんのかな。

 もし電話に出た女といて、ずっと帰ってこなかったらどーしよう。

 魔王に相談しよーかな……。


「朝陽?」

「え?」


 ロクに前も見ねーで駅から大学までの道を歩いてたら、前から聞き覚えのある声がオレを呼んだ。


「……タツヤ」

「久しぶりだな。元気……には見えねーけど」

「ん……」

「どーしたんだ、須磨は」

「今はいねーよ」

「いつも一緒だろ、お前ら。ナニ、もしかして別れたわけ?」

「ま、まだ別れてねーよ!」

「まだ? 時間の問題ってやつか? なら俺のとこに戻ってこいよ。もう浮気しねーし、大事にする」

「………………」


 そーいやオレ、タツヤに浮気されても必死にしがみついてたな。

 結局依存してたってやつなんだけど、タツヤが浮気してても何故か好きだって思い込んでた。

 彰と出逢って、タツヤへの気持ちはなんか違うって気付いて……彰を好きになった。

 彰、タツヤは浮気しまくっててオレを大事にしてねーって怒ったよな。

 寂しがらせんなって、言ってくれたよな。

 ……じゃあアレはなんなんだ。

 オレ、もーわかんねー。


「半年」

「?」

「お前がいなくなって半年。すげーつまんなかった。朝陽のコト、ホントに好きだったって気付いた」

「そか……」

「ヨリ戻そうぜ。とりあえず……朝陽の腹鳴ってるし、家で飯食う?」


 なぁ、彰……。

 どーしたらいー?

 オレ……バカだから、辛い時に優しくされんのに弱いんだけど。


「朝陽。どうする? 俺と来る?」

「ん……連れてって」

「よし、じゃあ来いよ」


 ごめん彰。

 オレ、お前のこと忘れたい。


 -To be continued……-



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