週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
やけ酒悪酔い─彰
一気にジントニックを煽ったら、パチパチと拍手が起こった。
てめぇらを盛り上げてんじゃねーぞって言いたくなるけど、生憎そんな元気はない。
「おい……。ヤケになんなよ」
「うるせーよ! どーせ俺なんか……!」
朝陽さん、俺が合コンしても平気だって言ってた……。
しかも、俺がベタベタしすぎだから、たまには一人になりたいって……。
これはもう、呑まないとやってられねぇだろ。
合コンだってのに、全然嫉妬してくれなかったし。
朝陽さんはドライな性格だってわかってるけど、ヘコむ。
あぁ、俺もドライな性格だったはずなのにな……。
朝陽さんのことが好きすぎて狂っちゃったのかな。
「お前、朝陽さんに出会ってからマジで変わったな。まぁかわいーけどあの人」
「おい……俺はまだ学祭でのこと、許してねぇからな」
「あ、あれは脅かしただけだろ!」
「言い訳すんな。これからもっと増えるけど、今日の俺の分は全部払えよ」
「わかってるって。……ったく、独占欲強すぎだろ」
「なんか言ったかー!?」
「なんも言ってねーよ、酔っ払い!」
悪酔いするから食いもんも腹に入れろ、と適当に盛り合わた小皿を俺に押し付けて、ダチ──橋田は席替えとか言いながらどっか行った。
俺はアオミドロみてぇな女なんて興味ねぇから動かないけど。
嫌でも隣に来るし。
「どうもー! 彰クンって呼んでもいい?」
「あ? 勝手にしろよ」
「うん、勝手にするぅ。アタシ、リナってゆーの」
ベラベラ話し掛けてくる女を無視しながら、ひたすらヤケ酒を煽る。
俺はマジで、朝陽さんにしか興味ねぇから。
それをバカみたいに勘違いして、クールでかっこいーとか言ってきて笑える。
てか眠くなってきたし、もう帰ろーかな。
うぜーって言われてもいーから、朝陽さんといたい……。
だって俺、朝陽さんが超好きなんだ。
「彰クン、寝ちゃう?」
「んー……朝陽しゃん……」
「アサヒ? 寝言なんてかわいー」
クスクスと笑いながら、誰かが俺の背中を撫でてる。
そのリズムが気持ちよくて、俺の意識はそこからぷっつりと途切れた。
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