週刊『彰と朝陽』

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引っ込みのつかない嘘─朝陽



「朝陽くん、お疲れー」

「お疲れ! 次がんばれよ」

「ありがと。ね、今度須磨くんのオゴリで駅前のケーキ屋行こ」

「いーなそれ! 彰に言っといてやる」

「任せたっ」


 仲間と楽しそーな約束をして、オレは清々しー気分でバイト先を出た。

 今日はやけにさみーから、早く彰に温めさせねーと。

 てか暖房ってあったけーけどつまんねーよな。

 今度こたつがほしーって言ってみるか。

 そんなことを考えながら、オレはすっかり陽が落ちた街を歩きだす。

 すると、いきなりオレの太股がブルブル震えだした。

 彰からの電話だ。


「なんだ」

『朝陽さん、バイト終わった?』

「ん」

『お疲れ。でさ、今俺……実は居酒屋にいるんだよね』


 あいつもダチとの付き合いがあるからな。

 いつもはもっと早くに連絡入れてくるのに、今日はいきなりだ。

 帰ったらいると思ってた彰がいねーのは寂しーけど、我慢するか。


「飲み会か、わかった」

『ううん……合コン、なんだけど』


 久しぶりにドキッと心臓が跳ねた。

 合コンってアレだよな、女と出会うやつ。


「そか」

『でも、今すぐ帰るからね。ダチに騙されただけだし。あっそーだ朝陽さん、もしよかったらこっちで飯でも……』

「帰ってこなくていーぞ」

『え』

「そこで抜けたらしらけるだろ。オレ、一人でご飯食うし、心配すんな」

『でも合コンだよ? 普通の飲み会じゃないんだよ。……朝陽さんは、嫌じゃないの?』

「別に嫌じゃねーよ。たまには一人で過ごしてーし、気にすんな」


 ホントは嫌だから帰ってきてほしーけど、居酒屋まで来て抜けんのはマジでしらける。

 オレのためにダチを蔑ろにすることはねーだろ。

 一緒に暮らしてんだから、終われば帰ってくんだし。


『そーだよね、俺、いつもベタベタしすぎだよね』

「は? なに言ってんだお前」

『たまには俺がいない方がいーんでしょ』


 なんだこいつ。

 オレの気持ちも知らねーで、勝手に勘違いしてやがんのか!?


「あぁそーだ。たまには一人で風呂に入りてーしな!」

『……わかったよ。じゃあまたね』

「なっ……」


 ムカッときて心にもねーことを言ったら、いきなり電話が切れた。

 嘘だったのに、彰は本気にしたのか。

 これは……オレが悪い、よな。



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