週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
お弁当食べよう─朝陽
せっかく一回目の殴りてー衝動を抑えたのに、記念写真撮ってもらう時に彰が腰を抱いてきたから殴ってしまった。
おかげで弁当が地面に落ちたじゃねーか。
「この辺、弁当食っていー場所みたいだよ」
「じゃあそろそろ食うか」
「うん」
オレは彰からビニールシートを受け取って、適当に空いてる場所を陣取る。
弁当は彰と一緒に作ったから中身を知ってるのに、いざ食うとなると急にワクワクしてきた。
「あきらっ。早くしろ!」
「お腹すいちゃった?」
「ん」
「あはは。子供みたいでかわいー」
「うるせー! オレの茶巾寿司やんねーぞ」
「うそ! 嘘です朝陽さん!」
「嘘吐きは地獄に落ちるから、死後の世界ではお別れだな」
「……! そんなの嫌だ!」
「反省するか?」
「うん……」
「じゃー許してやる。彰も天国行きだ」
「よかった!」
ったく、どっちが子供だっつー話だよな。
オレは大人だから寛容な心で彰を許してやることにして、さっそく茶巾寿司の弁当箱を開けた。
落としたのに崩れてねーし、なかなかいー感じで卵とご飯が馴染んでる。
ゴミが出ねーようにラップに包まねーで弁当箱に入れてきたから、ちょっと心配だったんだよな。
オレはその中の一つを弁当箱の中蓋に乗せて、彰に手渡してやった。
「ありがと。海苔巻きも無事だったよ」
「そか。いただきます」
「いただきます」
手を合わせて、まずは彰の海苔巻きから食らう。
売ってる海苔巻きはキュウリが入ってるけど、これは彰の手作りだからキュウリは入ってねー。
自分で作ったら好きにできるってとこが、料理のいーとこだよな。
オレたちはキレーな山の景色を堪能しながら、弁当を残さずに平らげた。
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